~日本のDXを世界で誇れる産業へ~
アルサーガパートナーズ株式会社
代表取締役CEO/CTO 小俣 泰明 氏
好奇心で新しい道を開く
幼少期は好奇心がすごく強い人間でした。
成功する人のポイントとして、飽きっぽくてもいいので、幼少期に多くの経験をしたかどうかというのが結構重要なポイントかと思います。
僕自身、当時はまだパソコンが普及していませんでしたが、小学生の頃からプログラミングを書いたりしていました。あと漫画もそうですね。僕は高校卒業後は漫画家になるために専門学校に進学をしたのですが、親がくれた漫画の影響が大きかったです。
父は色々なことに興味を持ってはすぐに飽きるタイプだったので、その飽きたものがどんどんお下がりで渡されていました。
父から渡されたいろんなものを一旦経験してみる、といった幼少期でしたが、そういう活動が今思い返すと結構良かったなと思います。
「好奇心を持ちなさい」と言われても、どうすれば良いか分からないですよね。
好奇心を持たせる方法というのは、家族や学校など、そういった外的要因も重要になると思います。
僕の場合は、とにかく好奇心をたくさん醸成してくれるような機会をくれる親のもとに生まれたのが幸運でした。
家族や先生から得られる教育が好奇心に繋がらないのであれば、好奇心を生み出してくれるような人とたくさん会うことが重要かもしれないですね。
そういう人でもいいのですが、知識を持っているかどうかは関係ないと思います。
例えば学生時代だと、学校内でみんなを集め、まとめられるようなオーラのある人。
ちょっと悪そうなやつとかいるじゃないですか。
そういう人たちに興味を持つことも大切です。
そうですね。
例えば僕の学生時代は、ヤンキーみたいな怖い人たちがよく集団にいました。
僕は好奇心旺盛でいたいから、「その人たちと仲良くなろう」と思って。
みんな怖がっちゃって、「仲良くなるのは難しいかもしれない。」と思うのですが、僕はそれをやってみたんですよ。
喧嘩はあまり強くなかったのですが、度胸だけはあったので(笑)。
番長みたいな人と直接話していく中で「お前面白いやつだな!」と輪に入れてくれて、そこからいろんな視座を得ることができました。
だから、「怖い」とか、「それってやってもいいのだろうか」といった臆病な感情で、自分に歯止めをかけないことが重要です。
「経験したことがなくて嫌だな」と思ってしまうことにも、度胸を持って挑戦してみると、案外道が開けます。それが好奇心ということだと思います。
アウトプットで価値を創造する
幼少期や小学校時代に、自分の好奇心に従って様々なことを経験して、ある程度自身の興味関心が明確になったので、それを深めるという活動をしていました。
僕にとってはそれが漫画でした。
「深める」ためには、アウトプットをするという意識が重要です。自分の知識を満たす活動だけでは駄目だというのがポイントです。
例えば、ガンダムのカードを集めるのが面白い。けれど、カードを集めることで終わるのではなくて、カードを集めてそれを「どのようにアウトプットするか」が大切です。
そのアウトプット先は別にインターネット上に限らず、周りの友達に披露することでもいいんです。そういう風に、周りの価値になるようなことをゴールとして意識し、好奇心を深掘りしていくということが重要だと考えています。
だから僕はまず漫画を描いていましたね。高校生の頃は授業中もずっと漫画を描いてました(笑)。
そして、描いた漫画を学校の友達に見せると、「続編が見たい!」というような声をもらったんです。そこで初めて好奇心が価値に変わるという体験ができました。
この「価値になる」というのは、みんなから求められているのだというところまでの経験。
ここまで体験すると、それが好循環を生んでくれるんですよね。
アウトプットを意識して好奇心を持って、価値を感じるまでやる。そうすると好奇心へのモチベーションが高くなって、またアウトプットしてみたくなる。
こんな好循環があると、好奇心が深まっていくのだと思います。
僕は大事だと思っています。
例えば起業家を目指す人には資金調達から始める人が多くいますが、それだと一流に追いつくことは難しいと思います。資金調達のための企画書がアウトプットになってしまうのではなく、実際に提供するサービスや物など、価値があるものを実行するまでがアウトプットだと思っています。
小さいことでもいいから、まずは友達とか周りの人間に対してやってみる。
そこで価値があると言ってもらえないサービスはいくらやっても勝てないですから。
好奇心から得た副産物
僕自身、漫画や作曲に好奇心を持ってずっと続けていたんです。
特に漫画は専門学校に行くぐらい好きで。当時からITを駆使して漫画を描いていたので、IT技術についてめちゃくちゃ勉強しました。そうして気づいたら技術力がついちゃったんですよ。
僕にとって、技術力は副産物だったんです。
漫画をたくさん描いた副産物としての技術力が、そのままエンジニアとしての人生に繋がったという感じです。
好奇心を持って何かを進めていくと、夢を持つようになるんですね。
僕であれば漫画家になるとか、B’zのようなバンドマンになるとか。
でも、そこまで実現できる人はそう多くはいなくて。
結局僕も、音楽活動はYouTubeとかApple Musicで購入できるくらいまでの挑戦はしましたが、全然売れずに結果的にビジネスにはなりませんでした。
しかし、そのように好奇心を高く持ちアウトプットを意識して物事を続けると、副産物的な能力がついてくるんですよね。僕にとってはそれがIT技術力だったんです。
僕の場合は、音楽仲間を集めようと思ったことがきっかけでプログラミングができるようになりました。
音楽活動をするときに、1人ではまず戦えなかったんです。
なぜかというと、僕、音痴だったんですよね(笑)。最初は僕がボーカルをやっていたのですが、それを友達に聞かせたら、もう大爆笑で。これをきっかけに音痴だっていうことを認識して、自分のやりたい音楽をするためには、まずチームをつくらなければいけないと思ったんです。
そこで、音楽仲間をマッチングしてくれるサービスを自分で立ち上げました。まだインターネット黎明期の頃でしたが、作曲家として成功するための手段の一つだと僕は思っていました。
そのサイトをつくっていたら、プログラミングができるようになったという感じですね。
漫画家や作曲のような活動は結局うまくいかなかったけれど、気がつけば自分のIT技術力がとても高くなっていたので、それを使ってエンジニアとして様々な会社でサラリーマンをしていました。20代の頃には起業することは全く意識していませんでした。
自分の力で業績が伸ばせるベンチャーの面白さ
初めて正社員になったのが伊勢丹データセンターという伊勢丹システムソリュージョンズのシステム子会社で、その後NTTコミュニケーションズという会社に入りました。それらは全てエンジニアのスペシャリストとしての採用でした。
その後、当時の先輩が、「お前はベンチャーの方が活躍できるから、ベンチャーに行った方がいい。うちの会社に来ないか。」って誘ってくれたんです。
それが一つの転機で、ベンチャー企業への転職を決めました。
先輩に誘われるがままベンチャー企業に就職して感じたことは、大手の企業では経験できなかった、自分の頑張りが業績に直接影響するという、やりがいです。
そこにやりがいと面白さを強く感じられたので、そこからは、ベンチャー系の企業で努力していこうという気持ちになりました。
ただ、最初に就職したベンチャー企業では大変なこともたくさんあったので、正直大手企業に終身雇用されておけばよかったという後悔もありました(笑)。
そんな気持ちを持ちながらも、ベンチャー企業で努力をして結果を出していたら、JASDAQ上場のベンチャー企業からヘッドハンティングをしていただきました。その企業では入社して3ヶ月で取締役に就任しました。
本当に能力があるのであれば、ベンチャー企業では上のポジションに挑戦できるということがそこで分かりました。
大手企業だったら入社3ヶ月で取締役になるのは到底できないことですよね。
その挑戦ができるという点が、自分には合っていました。
そして、取締役になるとその上には代表取締役しかないんです。JASDAQ上場のベンチャー企業で、後から入った僕が代表取締役になれるかというと、圧倒的に株を保有している代表を超えることは残念ながらできないので、そこで起業することを決意したんです。そのため起業までの経緯という点でいうと、起業をしたくてしたわけではなく、自分の能力を最大限活かすという選択肢として、もう起業しかなかったんです。
大変なことはたくさんあったはずなのですが、総じて大変だった記憶は特にないですね。
「絶対に大丈夫」と常に思っているので。
どちらかというと、「大変な状況をあえてつくる」ことの方が多かったです。
これは結構重要なことだと思っています。
例えば、アルサーガパートナーズは数年おきに移転をしています。従業員数が増加し続けているというのが一番の理由ですが、移転した直後は座席も埋まっておらず、一人当たりの家賃が高い状況であっても移転という選択をしてきました。分かりやすい例でいうと、8万円ぐらいの家賃の家に住んでた人がいきなり16万円の家に引っ越す感じ。16万円出せるほど稼げていないから大変ですよね。すると、その家賃を払うための努力をしなければいけなくなります。
このように、大変なことを自分からつくっていって、それを乗り越える経験をすることが重要なポイントかもしれません。
また、失敗を成功に繋げるというよりは、失敗を恐れずに挑戦するっていうマインドを持ち続けることが重要だと思います。アルサーガパートナーズには、「バグを否定しない」という文化があります。もともとエンジニアが多い会社なので「バグ」という言葉を使っていますが、バグ(=失敗)を否定するのではなく、挑戦した勇気を讃えようという意味が込められています。
頭を使い続けることが人間的魅力に繋がる
弊社のミッションである「人をつくる」ということは常に意識してきました。
脳も筋肉と同じで、トレーニングをしないとどんどん衰えてしまいます。ルーティンワークしかやらない人は、価値を生み出せなくなっていきます。
例えばここにあるエクセル資料を、こっちのシステムに登録するみたいな単純作業を毎日やるといった仕事は、あまり脳を使わないですよね。
そのような仕事を淡々とやっていく人を育ててしまうと、脳を使わないロボットのような人材になってしまいます。そういう人ばかりになってしまうと、会社としての能力も落ちていくんですよ。そのため、アルサーガパートナーズの従業員には、常に全ての業務において、頭を使ってもらうことを意識しています。
毎日もっと改善しようって考えて行動している人と、言われた作業だけをずっとやっている人とは、1年経つ頃には、脳だけじゃなくて人間的な魅力が変わっちゃうと思うんです。
脳を使う、という意識をきちんと持つということはとても重要です。個人としても、会社としても。
だから「人をつくる」んです。
経営者としての想い
日本を豊かにしたいと思っています。
日本人という人種で区切るんじゃなくて、日本で働く人が、「この国で働いてよかったな」と思えるような世の中にするっていうのが大きな展望。例えばコンビニで働いている外国籍の方とかにも、日本を好きになってもらいたいんです。
どんな仕事であっても、日本は治安も良くて安全で、日本に来たことで良い人生を送れたなって思えるようなような国にしたいです。
もちろん経済的な話でも、日本で働くことで良い給料をもらえるという状況にもしないといけないから。「日本で働くから安月給でお願いします」ではなく、給料面でも充実した国にしていかないといけないなと思います。
未来を担う大学生へ
今、就活は結構大変だという話をよく聞きます。大手に入るという選択肢は全然いいと思います。大手は教育がとても充実してるので、大手で学んで、そこで、「大手の会社名を使わずとも、自分は戦っていける」という気持ちを持てるかどうかというのが大事だと思います。そういう気持ちになったら、ベンチャー企業とか起業に挑戦するっていう道もあります。
「大手に入りたいけど受からなかったからベンチャーに入る」といった消去法の考え方は、あまり自分の人生のためにはならないと思います。
大手に入ってからベンチャーに挑戦して、そこで戦う力が足りなかったらまた大手に戻るっていうキャリアは、全然できます。恐れずに、自分がベンチャーに挑戦したいと思ったタイミングで、そういう道を目指していくことが良いと思います。
今回お話をお伺いしたのは・・・
アルサーガパートナーズ株式会社
代表取締役CEO/CTO 小俣 泰明 氏
1977年 東京都生まれ
日本ヒューレット・パッカードやNTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーで技術職を担当し、システム運用やネットワーク構築などのノウハウを習得。
ベンチャー企業、面白法人カヤックでディレクター経験を経て、2009年に東証JASDAQに上場の大手IT企業(クルーズ株式会社)に参画し、同年6月に取締役に就任。翌年5月同社技術統括担当執行役員に就任。 CTOとして大規模WEBサービスの開発に携わる。2012年6月に退任後、ITベンチャー企業を創業。代表として3年間で180名規模の会社にする。2015年辞任し、2016年ITサービス戦略開発会社アルサーガパートナーズ株式会社を設立。株式会社エボラブルアジア社外取締役。
多くの企業にモノ作り力を投資する形でパートナー企業として牽引する
「日本のDXを世界で誇れる産業へ」
社名の「アルサーガパートナーズ株式会社」は、「技術・芸術(=ars)の力で、デジタルの物語(=saga)を、パートナーシップを以て紡いでいく」という意味。
2016 年の創業以来、国内生産、国内 IT 人材の育成に取り組むことで、社会課題の解決に取り組んでいます。『DX 領域において、コンサルティグから開発、運用までを一貫して対応できる企業』として、日本国内の IT リテラシーの底上げをすることを目指しています。「日本のDXを世界で誇れる産業へ」というビジョンのもと、経営陣が一丸となり国産でのコンサルテーション、開発、運用という実績とそのノウハウの蓄積を行うことで、お客様の DX 促進を成功へと導くパートナーであり続けます。
所在地:東京都渋谷区桜丘町1−1 渋谷サクラステージSHIBUYAタワー 18階