飲食業界の未来を変えるイノベーション!

~元ファンドマネージャーが描く「歪みのない世界」~
リディッシュ株式会社

代表取締役
CEO 松隈 剛 氏

「会計士」という選択が切り開いたこれまでのキャリア

Q:学生時代はどんな学生でしたか?

小学校のころは勉強の出来る子で、中学校でもそれなりに成績が良かったです。
自分で言うのもなんですが、評定は悪くなかったと思います。

中学までは真面目に勉強を続けていましたが、高校に入ると少しひねくれ始めました。

高校時代はラグビー部に入りながらもパチンコにどっぷりとはまり、学校を長期間サボっていました。
当時は勉強よりも異性にモテることばかりを考えていて、「医者になればモテる!」と安直に思い、理系コースで医学部を目指しましたが、全く勉強せずに失敗。医者になりたいと強く思っていた訳でもないので、慶應義塾大学の理工学部に進学することにしました。

そんな中、大学4年生になり、同期の多くが銀行や広告代理店などの大手企業に就職する中、私は進路に悩みを抱えていました。理系だったので大学院進学も選択肢にはありましたが、それが自分に本当に向いているのか疑問を感じていました。

私は学生時代、中盤までかなり自堕落な生活を送っていましたが、進路選択を真剣に考え始めた頃から、自分で道を切り開いていくスタンスに変わりました。
実家が商売をしていたこともあり、最終的には独立したいと考えるようになりました。その近道として、会計士の資格取得を目指すことにしました。
今思うと会計士という選択は、その後の私の人生にもつながる大切な決断でしたね。

トップファームでのキャリアを通じて得たものは、素晴らしい出会い

Q:松隈様は起業前には、トーマツ、PwC、スパークスという、トップファームで働いていた経歴がありますよね。当時の経験について伺っても良いですか?

大学を卒業してからおよそ1年で公認会計士の資格を取得しました。
そこから入社したのがトーマツです。私の直属の上司がとても優秀な方で、環境に恵まれたなぁと思います。
実際、その上司はのちにトーマツの中でNo.2まで上り詰められたんですよ。そういう優秀な方と一緒に働けた経験は、本当に大きなことでした。

ただ正直、会計士としての監査業務は、私にはあまり向いていなかったんです。
監査は非常に重要な仕事ではあるのですが、どちらかというと他人がやったことをチェックするような仕事で、私は未来を創り出していくような仕事の方が向いているタイプでした。でも、ここでの経験を通して、素晴らしい人に出会えたのは、自分にとって大事な財産です。

その後、PwCに入社しましたが、とても厳しい上司に当たりました。
直属の上司でしたが、当時は”ブラック”とかそういう言葉はなかったですね。私は大体夜12時ごろに仕事を終えて帰っていました。そうするとすぐに上司から電話がかかってくるんですよ、「今からタクシーでこい」って。めちゃくちゃ過酷な上司で、24時間働けみたいな扱いでしたからね。本当にすごく厳しかったです。

監査法人というのは規制産業的な側面もあるので、ある意味すべきことが決まっている職場環境でした。自ら営業活動をして直接的に収益確保に動くということは少なく、与えられた業務をこなすことが主な役割でした。
しかし、M&Aの部門に配属されてからは違った状況になりました。
M&A業務はデッドラインがあるものですからね。締め切りに追われる環境の中で業務をこなさなければならず、かなりハードな面もありました。
自分の売り上げ目標額が明確に表示されて、「この金額を稼がなきゃいけない」と思うようになったんです。それまでは仕事の厳しさを実感したことがなかったので、そこで初めて「仕事ってこんなに大変なんだ」と圧倒されました。

その後、スパークスに移りました。ここでも仕事の内容がガラリと変わったんです。最初は、会計士として経理部門に配属され、公開準備作業をひたすら担当していました。
しかし1年くらい経って、投資部門に異動になったんですよ。ここでの、人との出会いが素晴らしかったです。
特にスパークスの創業者、阿部さんという方を今でも本当に尊敬しています。
創業者ならではの行動に、何度もすごいなと感心させられました。金融業界のカリスマ的存在の革新的な姿勢を間近で見ることができたのは、私にとって大きな財産になりました。

人間関係だけでなく、投資業務もとにかくめちゃくちゃ面白かったです。
本当にクリエイティブな仕事で、正解がまったくない世界での勝負です。
PwC時代よりもはるかに実績が問われる、パフォーマンスが全てでした。ですから、プロとしての厳しさを身にしみて感じましたね。創業者の阿部さんの迫力や哲学を学ぶことも多くあり、私にとって大きな経験となりました。

ファンドマネージャーの仕事は、当時のスパークスがめちゃくちゃ優れていたからこそ経験できました。最大で約3000億円ほどを運用していたので、トップクラスの経営者と接する機会が多かったです。上場企業の経営者でもほとんどの方と会えましたね。むしろ、彼らから会いたがっていただけるぐらいでした。加えて、スパークスにも、当時社外取締役の柳井 正 氏や畔柳 信雄 氏、株主の豊田 章男 氏など、今の経済界を牽引する方々がいらっしゃったので、そういった著名人とも間近で接することができたのも、自分にとって大きかったですね。

「世の中の歪みを変えていく」ための起業

Q:リディッシュ株式会社を創業するに至った動機はなんでしたか?

動機はいくつかあるんですが、一番根本的な動機を言えば、「世の中の歪みを何とかしたい」という想いがあったんです。
例えば株式投資では、市場の歪みに注目することが重要です。なぜこの株は適正株価よりも高い・低いのか、そういった歪みを発見し、そこから利益を得る訳です。

世の中見渡すと、同じような仕事をしているのに、片方の従業員の給料が高額で、もう片方が低額というゆがみが結構あるんですね。例えば金融業界の平均給与は非常に高額です。同じ経理職でも、ベンチャー企業と金融界では給与が2倍ほど違ってしまうのが実情です。なぜこのような不平等が生じるのか、そういった世の中の歪みを何とかしたい。

一生懸命働く現場の人々が恵まれない境遇にあるというのも、よくある事です。飲食業では、朝から晩まで懸命に働き、お客様に良い体験を提供しようと、腕によりをかけた料理を作っているのに、その努力が十分に報われていないように感じられるケースが多々あります。
ご存知かもしれませんが、飲食業界の廃業率はとても高く、全産業の中でも賃金水準が非常に低いんですよね。そういった社会の歪みのようなところを変えたい、という気持ちがあります。

手触り感のある仕事をしながら、未来を変えたい

金融業界は本当にやりがいがあり、意義のある産業だと思っています。しかし、社会の歪みを目にすると、現場の人々に対して金融業界が乖離しているような印象を受けてしまうんです。
極端な例として、私は3000億円を運用している会社で働き、著名な経営者の方々と出会い、様々な良い経験をさせていただきました。実際の業務として、長期経営分析や市場分析などを行っていて、本当に面白い仕事でした。

しかし、結局のところ最後に行うのは、”買い”か”売り”かを判断するだけなのです。クリックするだけで、数字が動き、資金がデジタル上で動くといった具合です。たまにこの業界は”虚業”だと言われることがありますが、その動きによって現実が動き出すので、全くの虚業という訳ではありません。
ただ、私がやっていたことは画面上の取引という、デジタルの世界に拘るもので、どうしても手触り感を感じられませんでした。
実家が商売をしていたこともあり、私は現場の人々の姿や、世の中の現実をもっと肌で感じたいと思うようになっていきました。

「苦労」を「伸びしろ」だと思える強さ

Q:創業してから今までを振り返ってみて、一番苦労したことはなんでしたか?

大変なことは多々ありましたが正直なところ、あまり苦労だとは思っていないんですよね。私は理系出身なのに会計士になり、会計士がファンドマネージャーへと転身しました。つまり、珍しい道を選ぶキャリアでした。

前例の少ない選択をする時はいつもそうでしたが、私には”自分ならできる”という自信があるんです。年を重ねても変わらない部分ですね。
社内でもよく言うのですが、”まずできると思う”ことが大切です。できないと思ったら、チャンスはゼロになってしまいます。できないと思ったことをできるようにする人は少ないですからね。

だからベースとなる考え方は、”できる”、”やろう”、”チャレンジしよう”ということなんです。苦労があった際、それを伸びしろだと捉えるようなマインドセットがあるからこそ、このように語れるのかもしれません。

もちろん創業当初からこうだったわけではありません。創業してからより強くなり、課題やハードルに立ち向かえるようになりました。時にはへこむこともあり、苦しいときもあります。しかし、それらを乗り越える過程で、全てに伸びしろやチャレンジすべき機会があると捉え直せるようになりました。

大切にしたいのは、「ポジショニング」と「社会・人とのつながり」

Q:会社の経営において大切にしていることはなんですか?

自分たちが何者で、何をやろうとしているのかということが何より大切ですね。つまり、自分たちの存在意義やビジョン、なぜ自分たちでなければいけないのかという根本的なところにこだわりがあるんです。

僕は、自分の肩書きに本当にこだわりがありません。別に自分が社長でなくてもいいんです。自分の役割の中で最大限のパフォーマンスが発揮できれば、それでいいんですよ。ビジョンの達成ができるのであれば、肩書きにはこだわらないし、何でもいいんです。
ただ、自分たちが本当にやろうとしていること、何のためにやっているのかというところにはかなりこだわりを持っています。そこだけが大切なんです。

もう一つ上げるとすると、社会や人の利益を大切にしたいと考えています。社会にとって良いことか、関係する人のためになるか、お客様のためになるかなど、そういった観点が重要です。そして最後に自分自身の幸せが来るという順番が絶対にあると思います。

自分の利益を先に追求するのは間違っていると思うんですよ。確かに最終的には自分の人生なので、自分が幸せになることが重要です。でも、その前に人や社会のためを考える。人を幸せにし、人の役に立ってこそ、自分が幸せになれるんです。この順番がすごく大切なんです。

起業してから広がった「一流」の捉え方と、これから目指すところ。社会にインパクトを与えるために、鍵になるのは「人」

Q:松隈様の考える「一流」とは、どういうものですか?

昔は世界で一流の投資家になりたい、世界でトップになりたいという気持ちがありました。今でも、一流の経営者に近づきたい、そういう人になりたいと思っています。ただ、最近は考え方がちょっと変わってきて、規模やインパクトだけではないかもしれない、とも感じています。一流と言ったときに、必ずしも大きな規模が絶対条件ではないということです。小さな規模でも一流の人はいると思うんですよ。

僕の中ではベンチャーをやる意味というのは、やはり社会にインパクトを与えるところにあると考えています。そうでないと、ベンチャーではなく中小企業と思ってしまうんです。
僕らは存在そのものとしてスタートアップやベンチャーであるべきだと思っているんですね。
ベンチャー企業は単なる規模の大きさだけではなく、社会への影響力が重要だと考えています。
大きな影響力には規模も欠かせないと考えていますが、一方で仕事の質や、後世に残るかどうかといったところも重要だと気づきました。

具体的に言うと、最近は人を育てることがすごく大切なのではないかと感じるようになってきました。会計士やM&A、ファンドマネージャーとしてのキャリアを歩んできましたが、組織を作る経験はほとんどありませんでした。

私たちはずっと、結果を出すことが当たり前の世界で生きてきました。働くということは、

誰かに言われるのではなく、自主的にやっていたんです。特にファンドマネージャー時代は、誰よりも絶対に働くんだと決めていました。朝一番に会社に行き、最後に帰る生活をしていました。それくらい量をこなすことが絶対的に大切だと自分に言い聞かせていました。

そういったプロフェッショナルの道を歩んできたので、人を育てるということをあまり意識してこなかったんですね。
しかし最近は、規模やインパクトだけでなく、人を育てることがベンチャーにとって重要なのではないかと考えるようになりました。

イノベーションを起こして「人の価値を拡張する」

Q:現在、創業から8年が経過したタイミングですが、今後の展望を教えてください。

将来の展望は、やっぱりデカくしたいですね。
僕ら、本当にイノベーションを起こそうと思ってるんですけど、今はまだ起こしきれてないんですよね。ずっと0⇒1をやっているような感じで、1になりきれてないっていうか。1になった後は、すごくポテンシャルがあると思ってます。

僕は人との出会いですごく自分の人生が変わってきた。
人って自分が好きなこととか得意なこと、そういうことに時間を使うべきなんじゃないかなと思っていて。だから僕らのパーパスで「人の価値を拡張する」とか言ってるんですけど、人の価値を出会いだったり、個人が得意なことや魅力的なことを通じて輝いてもらいたいというのがあるんですよね。僕らがフォーカスしてるのはサービス産業です。中小のサービス産業は、本当に人と人とが出会う産業だし、人が輝く産業なんじゃないかなと思うんです。そこのビジョンを達成したいなと思ってるんですよね。

それを達成するための手段として、やっぱり規模は大切だなって思っているので、3年から5年での上場を目指したいというのはあります。

あとは事業的について話すと、中小の人たちの大きな課題の一つとして、テクノロジーっていうのがあると思うんです。それは何かっていうと、いわゆるITテクノロジーだけじゃなくて、経営技術と言われるテクノロジーも。こういったところの課題を、解決できるような存在になっていきたいと。このビジネスモデルを通じて、3年から5年でそれを実証したいですね。

求める人材は「一人前のビジネスマン」として挑戦していく気概のある人

Q:ここまで記事を読んで、リディッシュさんで働いてみたいと思ってくれた学生もいるかと思うのですが、御社が採用で求めている人物像を教えてください。

インターンで来てもらう学生には、「初日から一人前のビジネスマンとして扱う」という話をしてるんですね。「学生だと思ってないよ」みたいな話。働くっていうことはやっぱり対等だと思ってるんですよ。なので、別にインターン生とか新卒扱いとかは特に区別しないです。

そういうことを前提に、自分がここでインターンするっていうこととか、ここで新卒として働くことの意義を本当に理解した上で来てくれる人を求めています。これをありきたりの言葉で言うと、成長意欲があってとか熱量があってみたいな話なんですけど、より具体的には、自分がもう一人前のビジネスマンだっていう意識を持って来るっていうことですね。

よくインターンを受け入れる側もそういうところあると思うんですけど、送る側もですね、勉強しに行くみたいな、経験しに行くっていう感覚でいることがある。そうじゃなくて、価値を出しに来てくれる人。価値を出すことによって密度の高い時間を過ごしてほしいっていうところが、僕らが伝えたいメッセージの一つなんです。そういうメッセージに対して、少なからず自分もやってみたいと思ってくれるインターンだったり新卒に来てもらいたいですね。

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未来を作る大学生へ

Q:インターンやベンチャー企業、起業に関心を持つ大学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

成功法則。難しいのは、自分にとっての成功が何かっていうところ、それをまず考えていないといけないと思いますね。だって、成功ってやっぱり人によって全然違うと思うんです。何をもって成功とするかみたいなところ、まずは自分にとっての成功が何かを考えるっていうことを大切にしてもらいたいなと。

答えになってるかどうかわかんないんですけど、諦めなければ成功すると思っています。
なので、自分の成功を定義した上で、諦めることなく変わり続け、やり続けることが一番の

成功の秘訣なんじゃないかな思っています。

今回お話をお伺いしたのは・・・

リディッシュ株式会社
代表取締役 松隈 剛 氏
福岡県生まれ
慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 出身
大学時代に公認会計士に興味を持ち、専門学校に入学して公認会計士の資格を取得。有限責任監査法人トーマツにて上場企業の公開監査に従事、プライスウォーターハウスクーパースにてM&Aを手がける。その後ジョインしたスパークスグループでは、株式公開準備業務等に携わり、ファンドマネージャーとして数千億円のファンドを運用。独立した後も投資家としての経験を積む。2015年、リディッシュを設立し、ファイナンスとテクノロジーを駆使した飲食店の経営課題解決を目指す。

未来の飲食店を実装する
Implement the Future Restaurant.

REDISHは、テクノロジーの力で飲食店における「再現可能な経営」を実現し、飲食店に関わる全ての人、そして飲食店という場を豊かにしていくことを目指しており、「集客」「資金」「IT」という3つの課題に対して、総合的にソリューションを提供しています。中でも力を入れているファイナンシャル領域では、記帳や税務申告などのサービスを提供するアプリ「Cross Point」を革新的な価格設定でリリース。収集したデータを独自に分析することで、データドリブンで再現可能な、飲食店経営を支えます。

会社名:リディッシュ株式会社
所在地:東京都港区西麻布1-12-5 SW六本木通ビル3F

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