「好きなものを仕事にする」とは_1/2

~ゲームで人生を豊かに!~
GLOE株式会社

代表取締役
 谷田 優也 氏

ゲームに熱中した幼少期

Q:幼少期はどんな子供でしたか?

1983年にファミリーコンピュータという任天堂のゲーム機が発売されたのですが、僕は1982年生まれなので、1歳になったときから家にゲームがある環境でした。

すごくゲームが好きな家族だったので、幼少期に「ゲームばかりやって!」と怒られたことはなくて、父や母、友達と、物心ついた頃からずっとゲームをやっていました。
「面白いものに触れること」をすごく大事にする家だったので、「これって面白い」って思うものは結構何でもやるというか。多くの人は、思春期を迎えて親と一緒に遊ぶことを恥ずかしく思ったりすると思いますが、僕は幼少期の頃からずっと親と遊んでいるから、親と一緒にゲーセンに行くし、親と一緒に旅行にも行くしみたいな子どもでした。

Q:ゲーム以外に何かに打ち込んだご経験はありますか。

テレビをよく見てましたね。
テレビのエンターテイメントがすごく好きだったので、、ゲーム業界を目指したときも、とんねるずさんがカプコンさんの作ったゲームのキャラクターデザインをする企画からゲーム会社を知ったりとか。
テレビからはじまるエンターテイメントにとてもワクワクしていたので、たくさんテレビは見ていました。

Q:古沢様(GLOE株式会社の代表取締役社長は谷田様と古澤様のお二人)とは、どのように出会われましたか。

2015年にウェルプレイド(谷田様が立ち上げた会社)ができて、2016年にRIZeST(古澤様が当時所属していたSANKOが設立した子会社)ができたのですが、SANKOという会社はeスポーツの事業をウェルプレイドよりも少し前にスタートしていたんです。

2015年当時は、eスポーツの仕事をメインで行っている会社ってほとんどなかったんです。だから、RIZeSTは純粋に競合の1社であって、ある時はコンペ先だったり、あるときは仕事のお手伝いを一緒にしてくれることもあったりという感じでした。
出会い方としては、業界の現場で知り合ったというのが最初です。

日本初のeスポーツの会社

Q:eスポーツの専業会社は日本で初めてだったと拝見したのですが、不安はありませんでしたか。

不安だらけでした。
実際、一年目は本当に仕事が少なかったです。
最初の一年間はお金を稼ぐためにゲームを作るプロデュースの仕事を週に5日程やって、土日にイベントを開催して、実績を作って、それをもとにまた営業しに行くみたいなことをしていました。

うまくいくかどうかわからないけど、うまくいくかどうかわからないぐらいが面白いと思っています。
うまくいくぞってみんなが思ってないからこそやる価値があるんです。
だから不安はありましたが、「別に死にはしないし」と思っていましたね。

Q:なぜ他人に反対されたり不安があったりした中でも、面白がるような気持ちで挑み続けられたのでしょうか。

結局、自分が良いと思ったものを良いものだと決められるのは自分しかいないんです。
要は、誰かのために働くって結局無理なんです。
自分のために働いた結果、誰かが幸せになることは無理してないんですけど、誰かに評価されたいがためだけに働いてると、自分の中に答えがなくて絶対苦しくなるんですよね。
「あなたには期待してるよ」って言われて、その人の期待に応えようと思うのに自分の中に答えがなくて、その人が喜びそうなことを想像しながら仕事をすることって、ずっと無理をすることなんですよね。
なぜなら、ピントが合っているのかわからないから。それがたまたま合って、「君最高だね」って言われるときもあるんだけど、「なんか違うんだよな」って言われたときの修正ができないんです。

ということは、友達だろうが親だろうが、誰かに何かを言われたとしても、それはただの参考にしかならないんですよ。

だから自分の中での判断基準はやりたいか、やりたくないかになるんです。やった暁に失敗したら右半分だけ悪魔にちぎり取られますとかだったらすごく悩むんですけど(笑)。

ウェルプレイドを設立したとき、もし箸にも棒にも掛からなくてうまくいかなかったら、別に戻ってくればいいと思っていました。
前に進むことを選択することと同じように、後ろに戻ることもすればいいと思っています。そう思うととても気が楽というか。駄目だったら戻ってくればいいやとか、他のことすればいいやというようにはじめから思っておくと、「ほなやるか」みたいな感じになってくるんですよね。

誰かに「ダメ」って言われて、やらない選択肢をとってしまうと、「あのときやっておけばよかったな」っていう気持ちになると思うんですけど、この残骸の方が絶対に健全じゃないです。
だけど、「やりました」、「失敗しました」、「戻ってきました」だったら、「やりたかったな」っていう過去とは決別して、ちょっと前に進んでいるんです。

一見、やっていないときと戻ってきたときは同じ場所にいるように見えるんですけど、それは全然違うんです。
「自分で決めたことをやった」という経験は、やりたいと思っていた自分と決別させてくれるんです。
ここの価値観を自分はとても大切にしてます。

やった側でいることの自信

Q:「諦めてもゲーム業界に戻ってくればいいや」という考え方でいると、困難にぶつかってしまったときに「もうやめて戻ろう」という考えにはならなかったのでしょうか。

行くも戻るもどちらでも良いのであれば、「行き得」「やり得」みたいな考え方を僕は持っています。
戻れる場所を作る実力を持つっていうことはもちろん重要なんですよ。自分の活躍できる、自信になる場所があるからこそ、挑戦しようと思えたのはありました。

僕は、ゲームのプロデューサーだったり、IPビジネスだったり、そういう経験を10年ぐらい積んできて、「IPビジネスは一生続くだろう」って感じていたんですよね。
この価値はきっと保たれるから、そこで何かをできるだろうっていう自信があったからこそ、チャレンジができました。

最初のうちは、自分が自信を持てる何かに、二、三年でも自分の時間を突ぎ込んで、「私はこれはやった側」だって思えるようにするのが大切だと思います。
何かをやったことない側とやったことある側ってかなり差があって、やったことある側にいるときの自信は人生の財産になります。

好きなものを仕事にするとは

Q:数々のゲームに関係したビジネスをされてこられる中で、困難にぶつかったとき、谷田様の中でゲームが嫌なものになってしまうことはありませんでしたか。

それは多分今の会社よりも、ゲームを作っていたときの方が思っていたかもしれません。好きなものを仕事にすることって、傍から見るとすごくうらやましいんですけど、好きだからこそ、「それ本気出してる?」って考えてしまうことがあります。
好きでやってるのに、それにすら本気を出さなかったら、「もう一生本気出せないけど大丈夫?」って自分に問いかけてしまうんです。
それがすごく苦しくなる瞬間っていうのは、ゲームを作っていた時もこの仕事でもありますね。「好きなことをあまり仕事にしない方がいいよ」ってよく言われるのは、好きなものへの熱意を自分で疑いだすと、好きだったことがあんまり好きじゃなくなってしまうからなのかもしれないなと思います。

ただ、今の会社ではeスポーツ事業をしていますけど、こういう仕事って、パッと見た中でも世の中にまだあんまりないんですよ。
僕は40年間ずっと「ゲームは面白い」と思っているので、ゲームを有効活用して何かのビジネスにできないかを考える仕事にありつけてるということ自体が、超ラッキーというか。
ありがたすぎて、
苦しさよりも、貴重性とか、ありがたさの方が勝るんです。9年ほど今の仕事をしていますが、「こんなに面白い仕事してていいのか自分」って思う回数がとても多いです。

ずっと難しい。ずっと面白い。

Q:谷田様にとって、仕事の一番の魅力はなんでしょうか。

僕がずっと一貫して感じているのは、やったことのないことを一生懸命やろうとしてる自分の時間は、何かに夢中になっている時間だということです。
それがパニックゾーンになるときっと駄目なんですけど、自分のコンフォートゾーンのやや外側で仕事をしていると、自己効力感が高くなるときがあるんです。

そういうときは何でもやれると思ってるから、いろんな仕事をしていられます。

今まではゲームの事業には、ゲームを作るかゲームの周辺機材を作るか、その環境を作るかという仕事しか殆どありませんでした。
「ゲームの力を信じて何かのビジネスをやる」って、どこまでいってもずっとやったことのない仕事なんです。

ゲームが好きっていう気持ちがあるから全くパニックゾーンに行かないのに、ずっとよくわからない仕事をしています。
9年間ずっと「難しいしよくわからない」と思いながら、やったことのない仕事だから慣れちゃうこともなくて。そこが面白い。

何が仕事の面白いところですかって聞かれたら、仕事の見え方がずっと変化してるところが僕は面白いなって思いますね。

きっと、無難な方を選んでも不正解ではないんですよ。でも僕は、どちらが面白そうかを考えています。
元気にバリバリ働けるのが22歳くらいからだとして、もう60歳の頃には足腰も痛くなっているわけじゃないですか。

そしたら、たったの40年間しか仕事という環境で遊べないわけですよ。仕事をどう面白くするかみたいな発想がベースにあるかもしれないですね。

▼GLOE 谷田代表のインタビュー第二弾はこちら▼

今回お話をお伺いしたのは・・・

GLOE株式会社
代表取締役 谷田 優也 氏

2010年に角川コンテンツゲートに入社し、IPデジタルコンテンツのプロデュース業に従事。2013年にマーベラスに入社後「NBA」のライセンスを獲得し、「NBA CLUTCH TIME」にて香港でiOSトップセールス一位を獲得。2015年11月に日本初のeスポーツ専門会社としてウェルプレイドを設立。2021年2月にRIZeSTと合併しウェルプレイド・ライゼストに商号変更、2022年11月にeスポーツ事業で日本初の上場を果たす。2024年2月にGLOE株式会社に商号変更。「We are the GAMING LIFESTYLE Company.」をビジョンに、ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにするソリューションやサービス、プロダクトを提供。かつて『ストリートファイターⅣ』で“ザンギエフ使いのアカホシ“として名を馳せた。

関連書籍「気鋭のリーダー10人に学ぶ 新しい子育て(日経BP)」

 

ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにする。

ゲームを続けることで得られる出会い、喜び、誇りを通して、だれもがヒーローになれる瞬間に巡り合う。GLOEは、ゲーミングライフスタイルカンパニーです。
eスポーツに関するあらゆるジャンルのイベントや大会の企画・運営、映像制作・配信、プロモーション、コンサルティングに加え、eスポーツを活用した地方創生や新規事業創出などを行っています。
ゲームが当たり前にある人々の生活様式に寄り添ったソリューション、サービス、プロダクトを提供し続けることで、ゲーム・eスポーツ業界のさらなる発展に寄与することを目指しています。

会社名:GLOE株式会社
所在地:東京都新宿区大京町22-1 グランファースト新宿御苑6F

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