「個の時代」に必要な考え方とは

~変わりゆくSNSマーケティングの流行に、どう対応するのか~
株式会社トリドリ

代表取締役社長
CEO 中山 貴之 氏

常に「自分でつくる、やってみる」

Q:学生時代はどんな学生でしたか?

「やりたいことや欲しいものは自分でつかむ」が根付いている子供だったと思います。

僕は4人兄弟の3番目で、実家はそこまで裕福ではありません。
欲しいものややりたいことが何でも叶う環境ではなかったからこそ、幼少期から家のお手伝いを熱心にして、お小遣いを得ていました。
お手伝いといっても子供なのでできることは限られるのですが、小学校の時から欲しいおもちゃはお小遣いをためて自分で買っていましたし、アルバイトができる年齢になってからはバイト代で携帯電話を買って、電話代も自分で支払っていました。

そんな調子だったので、勉強やスポーツに熱中するような勤勉な学生ではなかったと思います。
アルバイトと同じくらい熱中していたのが、友達との時間です。
元々社交的な性格なのもあり、常に友達といて、みんなでわいわい遊ぶことが好きでした。その頃の友達とは未だに仲が良いです!

友達と遊ぶか、アルバイトをするか、みたいな学生生活でしたね。

インフルエンサーから、インフルエンサーを支える側へ

Q:インフルエンサーという発信する側から、インフルエンサーを支えるという立場への変化、表から裏への変化に違和感はありませんでしたか?

toridoriの創業前、一定期間インフルエンサー兼インフルエンサーの代理店のような事業をやっており、両立していたこともあったので特に違和感は無かったです。

僕自身ブロガーとして活動していた時に、自分の発信に対して多くの人からコメントをいただいたり、当時働いていたアパレルショップにもたくさんのファンの方が会いに来てくれた経験から、「個人でも影響力を持てるんだ」と肌で感じていました。
それから、自分の発信力にどれくらい価値があるんだろうと試したくなり、広告の事業をやってみたところ思っていた以上の反響がありました。その頃、自分のまわりにもブロガーが多く、彼らも同じように広告を受けて仕事をしていたのですが、まだ「インフルエンサー」という言葉もなかったような時代で、発信に対する報酬の相場感がそこまで明確に決まっていなかったんです。

僕は、自分が広告事業をした経験から、どのくらいのアクセス数があればどのくらいの反響がありどのくらいの報酬になるのかを理解することができていて、報酬交渉もしていました。

でも周りのブロガーから話を聞くと、広告代理店の言い値で報酬が決まり、報酬の7~8割を代理店に取られている…という状況が当たり前だったんです。

自らの発信で大きな反響を作っているブロガーに、発信の適正な報酬が入らない、そんな現状は搾取だと感じました。
この状況を変えていきたい、発信する個人が適正な報酬や評価を得られる環境を作りたいという想いで、僕自身が広告案件を提供する側に回ろう、広告の会社を始めようと決意しました。

発信の可能性を信じていたと同時に、個人の発信が世間一般で当たり前になっていくだろうという確信が強くありました。世の中が変わっていくタイミングでより大きなチャレンジができるだろうと考えていたので、発信者側から発信を支える裏方に変わる違和感は全くなかったです。
むしろ裏側でこの時代を支える側になる方がやりがいがあると思っていたので、今、仕事に注力できているんだと思います。

Q:2010年に個人事業を開業したところから今のtoridoriさんがあると思いますが、当時の中山様に個人事業を開業するハードルはなかったですか?

個人事業を開業するハードルは色々ありますが、まずそのハードルを超える第一段階として「自分自身で稼ぐ能力があるか」が重要だと思っています。
僕は自分でブログをやっていてある程度の収益が得られていたことで一人でも稼げるという自信があったので、ハードルはほとんど無かったですね。
また固定費の削減など出費がかからないようにリスクヘッジできる体制をつくった上での開業だったので、そういった点からも不安はほぼ無い状態でスタートできました。

SNSの可能性と、変わらないもの

Q:貴社は対象の幅の広さを強みに事業を進めていることにより、多くのお客さんとのかかわりがあると思いますが、その中で苦労してきたことや今となって話せるエピソードなど教えていただけますか?

僕達の会社は、”メガインフルエンサー”と呼ばれるフォロワーが100万人以上いるインフルエンサーから、”マイクロインフルエンサー”と呼ばれるフォロワー数千人から数万人のインフルエンサーまで、あらゆるフォロワー数のインフルエンサーに対して活躍の機会を提供できる多面的なサービス提案をしています。

また、クライアントについても幅広く対応しています。大企業はもちろん、これまでインフルエンサーの起用が難しかった中小企業や個人事業主まで幅広くお使いいただけるサービス提供をしています。
toridoriの強みはこのような事業対象の幅の広さです。

しかし、実は元々インフルエンサーマーケティングって、多くの方にとって身近なものではなかったんです。従来のインフルエンサーマーケティングは、当社の展開しているサービスと比べて、とてもアナログな物が多いです。
リストをつくってインフルエンサー一人ひとりに連絡してキャスティングをし、アサインするまで細かく連携を取る必要があり、とにかく工数がかかるため比較的人手や予算に余裕がある大企業でしか使えないマーケティング手法だったんです。SNSは誰でもつかえるものなので、小さい会社ほどSNSの力をうまく生かせば効率の良いマーケティングができるツールとなるはずです。
しかし、中小企業や個人事業主の皆様にとってインフルエンサーマーケティングはハードルが高く、そこまで浸透していませんでした。

ここに大きなニーズがあると思ったので、中小企業や個人事業主の方々にインフルエンサーの力を活用したサービスを届けたいと考え、toridoriの主要事業である企業とインフルエンサーを直接マッチングするプラットフォーム型のサービス『toridori marketing』の構想ができました。
ここで大変だったのは、インフルエンサーマーケティングがまだ中小企業や個人事業主の方にとって馴染みがなく、営業をしても断られてしまうことが多かったです。
このサービスを広めていくフェーズが、立ち上げ当初苦労した点です。

Q:その苦しかったところから、どうやって抜け出したのですか?
ある一定の予算を投下しても、この事業が拡大したときにしっかりと利益がでると僕たちは信じていたので、2年ほど無料でサービスを使っていただきました。
まずはインフルエンサーマーケティングの価値を知ってもらおう、使ってもらおうという考えで集客に取り組みました。

常に発信元はどこかの誰か

Q:中山様が当時ブログで発信していた時から今のSNSのあり方は大きく変わっていると思いますが、このような予測の難しい変動に対してどう対応してきましたか?

Instagram、TikTokと日々新しいSNSの流行が生まれてきています。自分自身もその時々でインフルエンサーとして、または支える側として試行錯誤してきました。
ただ、正直今後どんなSNSが流行るかを予測することはかなり難しいと思っています。

例えば、中国ではライブコマースなどのライブ配信が流行っていますが、日本ではまだ普及していないなと感じています。このように国ごとでも流行っているSNSが違う中で、未来を予測することは出来ないです。
ただ、どのSNSが流行ったとしても、「流行ったものを使うのは個人」という原理原則があります。

僕たちとしては、SNS媒体とのつながりよりも、SNSで発信している、中にいるその個人、インフルエンサーの方々としっかり繋がることを大事にしています。
どんなにSNSが移り変わったとしても、どういう変動があったとしても、コンテンツを作って、SNSで発信するのは個人だからです。
発信するインフルエンサー一人一人との信頼を構築していくことで、今後起きる変動に対してももちろん対応していけると思っています。
今までもそうしてきたからです。そして、この変化への適応能力の高さこそがtoridoriの強みであると考えています。

広いマーケットだからこそ

Q:今後新たな挑戦を考えていますか?

僕たちは「『個の時代』の、担い手に」というミッションを掲げており、そのミッション実現のために必要な事業だけをやり続けています。

新たな挑戦で言うと、個人の影響力やインフルエンサーとのつながりといった僕たちが持っている資産を活用した新規事業を何かできないかということは常に考えています。
挑戦の幅は他の業種よりもすごく広く柔軟性をもちながら動くことができると思っています。

求める人材は「チャンスを自ら掴もうとする人

Q:行動指針に部署を超えてメンバー全員が全社視点を持つために、積極的に情報をキャッチしていくとtoridoriさんのホームページで拝見させていただきました。部署を超えていける人材育成のために社員に対して何かアプローチをしていますか?

おっしゃっていただいた「部署を超えろ。」を含め、toridoriの行動指針は4つあります。

そして、メンバーには常に行動指針の共有と意味を啓発するようにしていますね。また、実際に行動指針をメンバー自ら意識してもらうために、人事評価の中に、実績だけではなく、行動指針に対してどういう風に自分が行動できたのかという評価軸をいれています。
実際に行動指針に対して適切な行動が取れていればいるほど評価されるよう仕組み化されていることもあり、メンバー一人ひとりの日々の仕事にも行動指針が息づいているなと感じることは多くあります。

Q:貴社では今、どんな人材を求めていますか?

今、toridori初の新卒採用の真っ最中です。

今まではプロダクトや組織が成長段階だったので、取り組んでほしいことが明確に決まっていたため中途採用がメインとなっていました。
しかし、2022年に上場して、toridoriが急成長していく中で、足元の成長ももちろん重要ながら、今後中長期でしっかり未来を描いていくため新しい視点が常に生まれる会社にしなければと思っています。

toridoriに新しい風を吹かせてくれる新卒の学生さんたちにたくさんお会いしたいです!

求める人物像で言うと、toridoriはスタートアップということもあり「挑戦したい」気持ちを最も重要視しています。
100人の会社が200人、200人が300人になるという成長段階にある会社なので、新しいポジションが生まれやすく、手を挙げれば大きな仕事を任される機会も早く訪れます。
成長企業や、スタートアップに入るメリットはこの裁量の大きさだと思っています。
このメリットを活かし自分自身の社会的価値を上げたい、スキルアップしたい、今ないものを作りたい…そのような想いがある方に入社していただきたいです。

未来を作る大学生へ

Q:インターンやベンチャー企業、起業に関心を持つ大学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

toridoriが担いたいと考えている「個の時代」とは、世の中のニーズや価値観がより細分化されていく時代のことです。
今までとは大きく違う色とりどりな個性と向き合ったり、見過ごされていた個性が発見されやすくなると思います。

SNSの普及により、この「個の時代」への変化は加速していくので、その人の持つ個性や自分ならではの発想がより活きる時代になっていくはずです。
自分自身の強みや個性を伸ばせるキャリアを選んだり、スキルを身につけることで、『唯一無二の自分』に自信を持てる社会人になってほしいなと思っています。

今回お話をお伺いしたのは・・・

株式会社トリドリ
代表取締役社長CEO 中山 貴之 氏
1990年 徳島県鳴門市生まれ

月間500万PVを集める個人ブロガーとして活動後、2016年、株式会社アップロント(現・株式会社トリドリ)を設立。インフルエンサーマーケティングに関する各種サービスをリリースし、会社設立4年で売上高22億円の企業まで成長させる。
また、自身もYouTuberとしてチャンネル登録者数14万人超のYouTubeチャンネルを6年間運営するなど、インフルエンサー・経営者両者の視点から「インフルエンサーマーケティングの新しい形」を追求し続けている。

「個の時代」の、担い手に。

個性を引き出す。企業とつなぐ。
toridoriは、“インフルエンス・プラットフォーマー”です。

企業とインフルエンサーのニーズにとことん向き合い、実現のためにあらゆる面からサポートをし、その相乗効果によって影響力を最大化し、社会に新たなインパクトをもたらす”インフルエンス・プラットフォーマー”を目指しています。
マッチング事業やインフルエンサーマーケティング支援、インフルエンサーマネジメントなど多面的に展開しており、”インフルエンス・プラットフォーマー”として人の心から経済まで動かしていくことを使命としています

会社名:株式会社トリドリ
所在地:東京都渋谷区円山町28-1渋谷道玄坂スカイビル8階

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