株式会社SAMANSA
代表取締役 岩永 祐一 氏
熱中できるものを探していた学生時代
大学時代は常に熱中できるものを探していました。
特に好きだったのは海外旅行やバックパッキング、国際交流サークルでの活動、そして映像制作でした。読書も好きで、大学の図書館で読書を楽しむこともありましたが、何よりもバイト代を貯めて、夏休みや春休みに海外バックパッカーに行くのが私のルーティンでした。
これらに没頭した4年間は、現在の自分を形成する大切な時間でしたね。
大学生の時間は何でもアリの自由な時間でした。
将来自分は何をするべきなんだろう?自分の進むべき道は?と悩むこともありましたが、振り返ってみると非常に実のある自分探しの時間だったと思います。多くの学生の方がそうであるように、私も将来について不安を感じることが多々ありました。しかし、さまざまな経験を通じて、自分の興味や情熱を見つけることができました。
留学での実体験からSAMANSAを創業へ
リクルートに入社したのは起業家を輩出する会社、というイメージがあったからです。
リクルートの自由な環境は、私にとても合っていたように思います。
他の会社ではうまくいかなかったかもしれませんが、リクルートの文化が私の成長を支えてくれました。
リクルートで学んだことを2つ挙げるとすると、「数字へのこだわり」と「顧客視点」です。
ビジネスにおいて数字は客観的な評価基準であり、成功や失敗を明確に示してくれます。この数字にこだわる、という文化を新卒から持てたことはとてもありがたかったです。
もう一つの「顧客視点」については、お客様が本当に求めているものは何か、そのためにどうすればよいのかを常に考えることが重要だと学べたことが大きかったですね。この考え方は、現在の事業運営においても常に心掛けています。
アメリカへの留学後、日米を行き来しながら映像の仕事をしていたのですが、アメリカと日本の映画業界の違いに大きなギャップを感じていました。
アメリカのクリエイターは「俺ら今、夢のハリウッドにいるんだぜ!!」「これからなんでもできる!!」みたいな希望に満ち溢れているのに対し、日本のクリエイターは「日本では作りたい映画が作れない」「予算も少ないし、、、」と厳しい現実に悩む声が多かったです。
これを見て、映像を作ること以外に何か自分にできることはないかと強く思いました。アメリカに渡ったことは私にとって視野を広げる貴重な機会でした。
2015年頃からWeb動画やサブスクリプションサービス、新しい動画制作の形などが登場し、映像コンテンツに関する概念が変わりつつありました。また、アメリカで短編映画を作りながら、ショート映画というジャンルがもっと注目されるべきだと感じていました。コロナで完全に日本に帰国したのをきっかけに、既存の映画産業の延長線上で活動するのではなく、新しい市場を作ることで映画業界を変えられるのではないかと考え、起業に至りました。
会社を立ち上げた当初は、ショート映画配信サービスをやると決まっていませんでした。
実は、最初はYouTubeチャンネルを作ったり、動画の翻訳サービスを提供したりしてたんです。しかし、本当にやりたかったのはショート映画の配信サービス「SAMANSA」でした。共同代表と話し合い、21年の6月頃から本格的に海外のクリエイターに連絡を取り、作品の買い付けを始めました。最初は資金がなかったので、売り上げのほとんどをクリエイターにシェアする形で作品を提供してもらうよう交渉していました。
最初の数ヶ月はユーザー数が伸びず、メンタル的にきつかったですが、常に「今月が一番大変」と思いながら乗り越えてきました。お客様からのポジティブなフィードバックが大きな励みとなり、サービスを成長させる原動力となりました。最初の数ヶ月は特に厳しかったですが、困難を乗り越えることで自身のメンタルも強くなったと思います。
日々の小さな約束が自信をくれる
起業から現在までの間、うまくいかないことはたくさんありました。しかし、それは成功するためのプロセスの一部であり、失敗とは思っていません。成功するためには、色んなプランを試してみることが大切だと考えています。
また、それをを試してみるには強い意志が大切だと思います。強い意志があれば、努力や行動につながります。自分を信じることも重要ですね。自分との約束を守ることで、自信を持ち続けることができます。特に起業家にとっては、強い意志と自己信頼が成功の鍵となると考えています。
私は3年近く、毎日神社へ参拝に行っています。
「今日はめんどくさいな」とか、「雨が降ってるし行かなくてもいいや」と思う日もありますが、そんな日を毎日乗り越えて、小さい自分との約束をちゃんと守ることが、自信と継続に繋がっていくのだと感じています。
欲しい人材は、「自分の考えを発信できる人」
自立して動ける方に来て欲しいです。
弊社はスタートアップなので、言われたことしかできないような方には少し向いていないように思います。自分でどんどんやれるし、思っていることをちゃんと言える方がいいですね。
私自身、かつて上司に何か言いたいことがあっても「迷惑じゃないかな」とか、「忙しそうだな」と思ってしまうことも経験としてあるので気持ちは分かるのですが、でもそれじゃ話は何も進まないですし、時間の無駄です
なんでも良いので、どんどん意見を言って欲しいですし、何なら「私がやりたいのはこれです」って言って仕事を新しく作ってしまうような動きを見せてくれる方が合っているかと思います。
あとは映画が好きな人ですね。
映画に対しての熱量がある人じゃないと続けてても楽しく無くなっちゃうと思います。
長期インターン生で1名、大手の電力会社での内定が決まったという報告をいただきました。
弊社でのインターンの経験が就活の面接に活きたと伝えてくれて、とても嬉しかったです。
スタートアップなので、通常のアルバイトや大手企業でのインターンよりも多くの裁量権をお渡しできると思っています。
日本の未来を担う大学生へ
大学生の時、私は「自分探しをしてた」とお話したかと思いますが、結構子供の頃から早くやりたいこととか、自分にぴったり合う仕事を見つけなきゃ、みたいな意識がすごく強くてずっと悩んでいました。
僕は大学院まで行ったものの1年で中退しているんですけど、それも何かやりたいことがあって院に行ったっていうよりは、やりたいことが見つからないから、モラトリアムを伸ばしたみたいな感じが強くありました。
一方で周りのみんなはそれなりにいい会社にどんどん入っていって行ったので、メンタル的に結構辛かったです。自分だけ暗闇の中にいるみたいな感覚でした。とはいえ、どこかしらいい会社に入れればそれでいいやとも思えないし、すごい悩んでたんすよ。でも悩めていたから、思いつく選択肢をいろいろ試してたんですね。あの頃に悩んでなかったら、全ての選択肢を試していない。
もし悩んでる人がいるのであれば、悩んでる方が選択肢が広がったり、目を向けられる場所があるはずです。
それはすごくいいことで、絶対次に繋がる。
やりたいことが決まってる人は、それはそれで素晴らしいことです。
後はそれをやるための選択肢をたくさん考えてみて、やりたいことの叶え方で悩めば良いと思いますし、どんどん試してみて欲しいです。
今振り返ると、あの時に悩んでたことが今に繋がってるから、僕にとってはあれがベストだった。
今将来に悩んでいる方がいらっしゃるとしたら、この悩みは次に良い形で繋がるんだと、励ましのでメッセージを送りたいです。
今回お話をお伺いしたのは・・・
株式会社SAMANSA
代表取締役 岩永 祐一 氏
1988 年 鳥取県生まれ 、慶應義塾大学 理工学部 出身
曽祖父が映画館・映画配給事業を営んでいた影響で、小さい頃からクラシック映画を観て育つ。学生時代はバックパッカーにハマり、40カ国以上を周る。南米の村の軒先で子供達が「アベンジャーズ」を食い入るように夢中で見ているのを目撃し、エンターテイメントに大きな影響力を感じる。大学卒業後はリクルートキャリア、Crevo での勤務を経て、渡米。UCLA EXTENSIONにて映画演出を学び、帰国後はフリーランスの映像ディレクターとしても活動する。2021年に SAMANSA を創業。
“10 minute trip 10分で人生が変わる映画を世界に”
SAMANSAは、世界中の良質で面白いショート映画・ドラマ・ドキュメンタリーを発掘し、クリエイターと直接契約を交わして配信しているプラットフォームです。「日本から、ショート映画の魅力を世界に伝えたい」そんな思いから始まったサービス。一本あたり 10-15 分程度の短い限られた時間の中で、シンプルかつ凝縮されたアイデア、物語、想いを届けます。鑑賞機会の提供に加えて、クリエイターの活動も応援しており、事業を通じたアジア地域のエンタメ市場の活性化を目指しています。
所在地:東京都渋谷区渋谷 2-14-13 岡崎ビル 603
企業ホームページ:https://about.samansa.com/