正当な努力を正当に評価する!

~幸せのファイナンス事業~
Global Mobility Service株式会社
代表取締役 中島 徳至
 氏

学生時代の経験を活かした評価の仕組み

Q:中島様は幼少期はどんな子供でしたか?

幼少期の頃は、活発な子供だったと思います。田舎で育ったので川に行ったり山に行ったり、自然と触れ合うのが好きな子供でした。

学生時代は、勉強が嫌いで、好きだったのは遊ぶことや自然と触れ合うこと、そしてスポーツでした。スポーツは野球やバスケットボール、スキー等、色んなスポーツに励んでいました。
今では信じられないですが、水を飲んではいけないような過酷な環境で頑張っていました(笑)

Q:海外の現地の方の努力や働きぶりが可視化されるような必要性はどのような経験からお考えになられたのでしょうか。

これは学生の頃の経験が影響しています。
学生はみんな同じだと思うのですが、最初は自分を見てほしい、評価されたいという気持ちがありますよね。でも、なかなか評価されないという経験を重ねるうちに、私は評価する側の人になりたいと思うようになったんです。

学校ではみんな平等に扱ってくれますが、社会に出ると不平等が現れてきます。大人の世界では、みんなが平等に扱われるわけではありません。非常に期待される人もいれば、頑張っているのに全く期待されず、認められない人もいるのです。
その違いは、人として嫌われる部類に入る人はなかなか平等な扱いを受けられないことが多いと思うんです。例えば挨拶ができない人とかですね。

本当に自分のことを理解してもらえれば嫌われることはないはずなのに、理解してもらえないからなかなか好かれない。そして、色々指導してもらえなかったり、機会をもらえないという経験は、学生時代の延長線上にあるのだと思います。

Q:他のインタビュー記事より、中島さまはローン完済祝賀パーティに出席されていたり、GMSを利用したことで進学が叶った子どもたちとのイベントをお考えになっていたりするというお話を拝見し、一つ一つの人とのつながりをすごく大切にされているのだなと感じました。何かきっかけとなったご経験等はあるのでしょうか。

これも子供の頃の経験が影響しています。
自分は出来が悪かったので、近所のおじさんやおばさん、学校の先生方とお話しするとき、「この子は言うことを聞かないだろう」という上から目線で決めつけられたことが小学生ながらに感じ取れていたんですよね。

だから、「膝を折って目線を合わせる」ことが非常に重要だと感じるのです。相手の話の内容や生活環境が異なっても、信じるか信じないかは目線を合わせることから始まるように思います。もし相手が「これから頑張る」と言ってきたら、それを応援してあげることが大切なのです。

同時に、応援するだけでなく、デジタル技術を活用して、その人が1日中どれだけ真面目に働いたかを見て、それに応じて適切にサポートしていくことも重要です。要するに、企業と個人の信頼関係の中で、個人が信頼してくれたならば、その信頼を裏切らないようにしたいのです。

うちの会社にも、単にローンを提供して終わりと考える人たちがいますが、その考え方では売上1台がただの数値に過ぎません。そうではなくて、ローンを契約したその1年を使って這い上がっていく過程で、人々が本当の幸せを感じてくれる人が沢山いて欲しいと願っています。
社内でもこのような話題をよく取り上げています。幸せのファイナンスを重要視する人には、その部門の責任者になってほしいと考えています。

このようなチャレンジをすることは非常に面白いと思うんです。会社全体が良くなり、社会全体が良くなる方向に向けて、どんどん積極的にチャレンジする人が溢れてくるのは喜ばしいことです。

少子高齢化、労働力人口の減少、地方の衰退という日本の現状を、自分が変えないといけないと使命感を抱きました。だから起業するしかなかったんです。

現地のニーズを最優先できた理由

Q:自分たちの都合ではなくて現地のニーズを最優先できたのはなぜなのでしょうか。

やはり現地に行くと、現地の人々のコミュニティがあり、彼らの視点があります。しかし、日本人の視点から見ると、現地の人々は貧困であり、何も知らないだろうと考えがちです。そのため、レベルを下げて接してしまうことがあります。でも、そうしてしまっては、現地の人々が本当にやりたいことや考えてほしいことが見えなくなってしまいます。

だからこそ、対等な目線で目線を合わせて話をすることが重要です。そうすると、「実はこうしてほしい」や「こういった形で助けてくれないか」といった本音が見えてきます。
そういった声の数が多ければ多いほど、その悩みは一つの社会現象になってるってことですよね。だからそこをサポートすることが、すごく大事だと思うんです。

このような考えを持っているからこそ、現地のニーズを最優先することができたと思います。

倒産経験が原動力に

Q:起業家として活動する中での原動力は何でしょうか。

日本でトップクラスの電気自動車のスタートアップ企業の経営をしていた時の経験です。
当時僕は、アメリカのテスラと匹敵する自動車メーカーを日本で経営していました。テスラの時価総額が100億だったとすると、僕の会社は50億くらいでしたが、技術レベルでは決して劣っていない自信がありました。

数字で言うと、うちは10億くらいの赤字で、テスラは100億の赤字を出していたので、テスラはうちの10倍くらいの赤字を出していたことになりますね。

その中で、世界最多のオーダーを取ったこともありました。しかし、その後オーダーをキャンセルされてしまい、会社は倒産することになったんです。でも、倒産したからといって事業内容や経営が悪いわけではありませんでした。倒産させようとする人たちの存在の影響を受けたのです。

これはもう、僕の力ではどうしようもありませんでした。世の中には見えない力がたくさんあって、できるだけそういった権力に触れないようにする、つまり尻尾を踏まないようにする方がいいのですが、それでもチャレンジをしようと思うと、どうしてもその尻尾を踏まざるを得ない時もあるのです。

僕が手がけていたのは電気自動車でしたが、既存のプレイヤーの方々からすると、ガソリン自動車を売ってきたのに、元気のいい若いやつが出てきて「電気自動車、電気自動車」と言って、電気自動車に乗り換えるような話をメディアでどんどん話し始めると困るのです。

あるいは、この電気自動車の技術を日本ではなく、中国のような国に持っていって広められると困るとか。そういうふうに、頑張られると困る人たちが出てくるのです。

これがビジネスですよ。いわゆる競合と言われる敵ですね。

ビジネスの世界では、敵と味方がいる戦いがあります。昔で言えば刀とか鉄砲とか、そういうものでした。でも、今は血が流れずとも激しい戦いがあります。

その中で、やっぱり潰したり潰されたりっていうことがあるんですよね。私は「新しいテクノロジーを担っていくんだ」という思いでやってきましたが、「そうじゃない」と考える人たちに会社を潰されてしまいました。そのときの悔しさとかつらさが、私の今の会社を経営する上で大きな原動力になっています。

Q:壮絶なご経験が原動力になっているのですね。

皆さんはまだ、人生を左右するほどの辛さや悔しさ、苦しさを感じていないかもしれませんし、将来的にそうした経験をすることがあるかもしれません。

例えば、お母様が重病を患い、病院に連れて行っても全く対応してもらえず、結果的に亡くなってしまったという経験があるとします。そのような経験をすると、許せない気持ちが湧き上がると同時に、病院の人々がきちんと患者さんと向き合ってくれる社会を作るために起業したいという強い想いを抱くかもしれません。

自分自身がそうした経験をして、「よし、頑張ろう」と思う人もいれば、他の人が同じような目に遭うのを見て許せないと思い、行動する人もいるでしょう。こうした強い想いから生まれた起業こそが、私は本物だと考えています。

しかし、最近の起業は利益を上げることや自身のキャリアを築くことだけを目的として始めるところが多いように感じます。野心や大義が無く、起業のテクニックに頼って成功しようとするような人たちです。

その人たちを見ていると、彼らには本来もっとやりたいことがあったはずなのに、それを見つけられなかったのかもしれないと感じます。強い想いがあれば、もっと強い、良い起業になっただろうと思うと、少し残念に感じることもあります。

積極的にチャレンジできる会社

Q:社内の教育方針を教えてください。

教育体制で一番大切なのは、社員にチャレンジさせることです。社員にはよく、「チャレンジしていいよ」と声をかけています。当社の場合、「7 SPIRITS」という七つの行動指針を掲げていて、その中の一つに「機会提供」という指針があります。

つまり、チャンスを与えることを宣言している会社なのです。ですから、入社してもチャンスが与えられないということは絶対にありません。自分がやる気を持っていれば、どこまでも業務を任せてもらえます。

例えば弊社の社員の一人には、新卒で入ってもらって、いきなり広報全般を全部やってもらってます。普通だったら、広報の専門家でもないのにできないと跳ね返しちゃうかもしれない。でも、そうしたら成長が止まっちゃうんです。

まずは自分の限界まで振り切ってやってもらいたいのです。そこで自分の力の限界を感じる。そこからがすべてです。これは役員も同じです。

その「本当にわからないところ」からの日々の積み重ねこそが実はとても大事です。そこまでは誰でも走れます。若い頃を振り返ると、私もそうでした。

だから、中途半端に少しだけ努力して、まだ余裕があるのに「大変です」と言っているうちはまだまだこれからだと感じます。

最近はあまり言わないですが、昔はよく「行ったり来たり」という表現をしていました。後退感を感じたとき、そこから全てが始まるんだという意味です。

体感的には、毎日仕事をしていると、自分のレベルがどんどん下がっているような感じがします。自分が迷惑をかけているのではないか、自分の力が全然足りないのではないかという気持ちで、KO寸前の状態になることがあります。最初は目が輝いていた自分が、今では遥かに遠く、ボロボロになってしまうこともあるでしょう。

しかし、実はそれが成長している証拠なんです。それを感じることが大切なんです。

Q:会社経営をされる中で大切にされていることを教えてください。

大切にしなければならない要素はたくさんありますが、特に大切にしたいと思っているのは、そこで働く人々の気持ちです。また、その人々の将来を預かっているという意識も常に持っています。

だからこそ、人によっては優しく接し、人によっては厳しく接します。一人一人、個々のパーソナリティがあるので、全員を同じように扱うわけにはいきません。

しかし、採用した以上は少しでも成長してもらいたいし、その成長を実感してもらえる会社で在りたいと思っています。そういった意味で、社員の人生を預かっているという意識は非常に強く持っています。

Q:今後の貴社の展望について教えてください。

私たちの目標をわかりやすくお伝えすると、デジタル時代を活用して、世界各国で1億人の方々に当社のファイナンスサービスを提供したいと考えています。例えば、グラミン銀行が400万人のバングラデシュの貧困層に生活基盤を提供したように、私たちもファイナンスの提供を通じて人々の生活を向上させたいという願いを持っています。

例えば世界には、仕事で使うための車が欲しかったり、必要な工具が欲しかったりする方々がいます。それらを彼らが手に入れることで収入が増え、生活の質が向上するということですね。トラックの配送員さんなどのように自転車ではなく自動車を、普通自動車よりも大型トラックを使うことで収入が増えることがあるのが良い例です。

私たちは、そのようなニーズに応える商品を提供するだけでなく、求める方々がその商品を手に入れることで幸せになることを重視して活動しています。今後も、さまざまな方の幸せに貢献していきたいです。

Q:貴社では今、どんな人材を求めていますか。

チャレンジしたいと強く志す人です。
このチャレンジしたい人というのは、自分がしてきたチャレンジを通じて、良い経験を積んできた人が理想的ですね。自分の仕事をしっかりと成し遂げ、その成功体験に自信を持っている人です。

そういう人こそが社会の課題に向き合い、自分の経験を活かして解決に取り組むことができるのです。新たな挑戦への意欲が高い人や成長ポテンシャルが高い人が本当に価値のある存在だと思います。
そんな人材を求めています。

日本の未来を担う大学生へ

Q:インターンやベンチャー企業、起業に関心を持つ大学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

インターンシップは既存の仕組みをこなすだけではなく、新しい仕組みを築くことも重要だと思います。アルバイトであれば、既存の業務をこなすことが一般的ですが、それとは異なり、インターンシップでは新しい仕組みやアイデアを生み出すことが求められます。

例えば、ロッテリアでのアルバイトであれば、調味料を振ったり肉をトッピングする作業は既存の業務ですが、新しい仕組みを築くというのは、ハンバーガーの厚みや味の改善について考えることですね。これは全く異なるアプローチです。

インターンシップを通じて、新しい視点やアイデアを持ち込み、実際にその実現に向けて動くことで、貴重な経験となります。そのようなチャレンジングな業務がインターンシップには求められていると考えています。

スタートアップでの長期インターンは非常に特別な経験です。インターンの皆さんが社長のそばで働くことができることは、学生時代にはなかなか経験できない貴重な機会です。創業者が考えたり悩んだりしていることを身近で学び、業務にすぐにキャッチアップできる環境もまた、他の会社ではなかなか得られない貴重な体験ですね。

チャレンジしたい意欲のある人がそのチャンスを掴める場として、インターンシップは魅力的なものですね。

大企業について言えば、自分の役割や責任が明確に定められている場合が多く、その中で自分のしたいチャレンジをする機会は限られるかもしれません。しかし、そのような環境でも自らの役割を全うすることや、与えられた仕事を精度高くこなすことで学ぶことは多くあります。

一方で、スタートアップやインターンシップでは、より多くの挑戦と成長の機会があります。楽しいだけでなく、失敗や苦しみを経験することも重要だと思います。その経験が成長の証となり、自己成長につながることが多いです。「つらい」という言葉だけでなく、その過程で得る学びや成長の証を大切にすることが重要ですね。

今回お話をお伺いしたのは・・・

Global Mobility Service株式会社
代表取締役CEO 中島 徳至 氏

1967年岐阜県出身。東京理科大学大学院総合科学技術経営研究科修了。
1994年、株式会社ゼロスポーツ設立。当時国内を代表する電気自動車ベンチャーとして活動し、電気自動車普及協議会初代代表幹事を務めた。2013年、フィリピンにて電気自動車製造開発を行うBEET Philippines Inc.を設立し、CEO兼代表取締役社長に就任。日系企業として初めて電気自動車ナンバーを取得する。同年、退任し、Global Mobility Service株式会社を設立。世界最大のグローバル起業家コミュニティエンデバー「2018エンデバーアントレプレナー」、Forbes JAPAN主催「日本の起業家ランキング」2019・2020・2021 3年連続BEST10選出、日経ビジネス「世界を動かす日本人50」に選出、「Morning Pitch Special Edition 2016最優秀賞」、JAPAN VENTURE AWARDS 2019「中小企業庁長官賞」受賞など実績多数。

 

モビリティサービスの提供を通じ、多くの人を幸せにす

Global Mobility Service株式会社は、グローバルに展開する日本初の金融包摂型FinTechスタートアップです。

世界中のローンやリース等のファイナンスサービスを利用できない方々のため、当社の独自技術であるモビリティサービスプラットフォーム「MSPF」と最先端のIoTデバイス「MCCS」、そして事業開発力を駆使して、真面目に働く意志のある方々へローンの活用機会を創造し、就業機会の創出を実現します。さらに、モビリティの代替を促進することで、よりよい社会の実現に貢献しています。

GMSのIoTデバイス「MCCS」は自動車の遠隔起動制御技術を搭載しており、走行状況や速度などの車両データを収集します。これらのデータと、金融機関と連携して取得した支払い状況などの金融データを分析することで、ドライバーの信用力を可視化します。これにより、従来の与信審査には通過できなかった方々にも、ローンやリースなどの金融サービスを活用する機会を創出しています。

会社名:Global Mobility Service株式会社
所在地:東京都千代田区神田紺屋町15 グランファースト4F
企業ホームページ:https://www.global-mobility-service.com/company/

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