前例のない挑戦!

~社会課題から新たな価値を創造する~
株式会社クラダシ
代表取締役会長 関藤 竜也 氏

目の前のことに向き合い続けた学生時代

Q:関藤様は幼少期はどんな子供でしたか?

そのときそのときを一生懸命生きていた学生でした。例えば高校生のときは、アメリカンフットボールに熱狂してました。
大学のときは、ヨーロッパ20カ国ほど訪れたりと、世界に関心がありました。そういったこともあり、グローバルに事業を展開する商社に行きたいなとも思っていました。
偶発的な出会いによる幸運、という意味の言葉で、「セレンディピティ」という言葉がありますが、振り返ってみればまさに人生は本当に「運」と「縁」と「タイミング」がすごい重要だと思います。

Q:学生時代から社会貢献をしたいと思っていたのですか?

社会貢献を強く意識していたわけではありませんでした。
社会貢献をしようと思ってやったことって実はあまりなくて、思ったことをやったらそれが社会貢献に繋がっていたことが多かったです。
重要だと思うことを一生懸命やった結果、どんどん道が開けてきたイメージです。
目の前のことを必死にやっていた結果、視座が上がって、目の前の人に対して自分の力で何かできることはないか、と考えるようにもなっていきました。

商社時代の中国滞在経験が起業のきっかけに

Q:起業前のそのキャリアと起業に至るまでについて教えてください。

まず新卒で商社に入りました。商社ではさまざまな部署を経験しましたが、実は商社では食品部門にいたことが無いんです。最初は鉄鋼で、財務、外国為替などたくさんの業務を経験しました。
その中でも転機になったのは、28歳ぐらいのときに北京の大学に企業派遣留学をしたことです。
中国は56の民族で成り立っていて、漢民族は総人口の98パーセントぐらい。残り2パーセントはその他の55の少数民族だと言われています。
私は留学中に55の少数民族みんなに会いに行くことを目的に、留学中に中国全土を訪れました。

その後、北京から無錫へ行き、アパレルの工場の生産管理のお仕事をしました。
次に上海の現地法人に行って仕事をしたときに、とある部署の部長から打診があり任期が早まる形で帰国しました。
中国での滞在は、一言で言えば楽しかったです。
仕事ももちろん楽しかったのですが、何よりも手がけるものとか、見える景色、全てが新しかったです。

中国に行っての1番の学びは、日本の常識は世界の常識ではないということでした。

Q:起業に至る転機になったのはやはり北京に行かれたときですか?

起業の原体験、「クラダシのビジネスモデル」を思いついたのは2つの経験に基づいています。阪神淡路大震災の経験と中国駐在時代の経験です。

1995年に起きた阪神淡路大震災ではバックパックに救援物資を詰め込み、震源地に向かいました。そこで救援活動に参加しましたが、1人の力では救えないものがあることへ非常に無力感を感じました。
この時の悔しさが、いつか必ず人のため、社会のためになるような仕事をしたいと強く思わせてくれた経験です。

2つ目の中国での経験は、直線経済的なビジネスで大量生産・大量廃棄を目にしてきたことが大きいです。これはいずれ環境問題に発展するだろうと容易に予想できました。
大量生産・大量廃棄を前提とした世界経済が行き着く先は環境問題です。そして、多くの人が気づいた時にはもう遅いと。

そういった課題意識で誕生したのが三方良しの新しい仕組みです。
クラダシは社会性・環境性・経済性という三つをなすことによって、ソーシャルグッドな世界観を作っています。

Q:起業の最後の決め手は何でしたか?

「なぜ、大量廃棄が事業者から生まれるか?」という問いを突き詰めると、産業構造の問題であることに行きつきました。
従来は、出来上がった製品を全部売り切れなかったら、安売りするか廃棄するしかないと言われています。
そこで安売りをする時にディスカウンタールートになる。そうすると、企業のブランドイメージと市場価格が毀損される可能性が出てきます。それを嫌がって、廃棄を選ぶ企業も少なくはありませんでした。

それが将来的に、環境面で問題視される時代が来ると2000年のときに感じていました。その時に、SDGsの前身のMDGsというものを知りました。

「フードロスが環境問題だ」という社会風潮が形成されるよりも前に起業すれば、時代の波に乗って事業を伸ばしていけると考え、国連によるSDGsが採択される2015年9月の1年前にあたる、2014年7月にクラダシを設立しています。

SDGsの前身である「MDGs(ミレニアム開発目標)」は2015年までの達成目標でしたので、2015年以降、新しい環境問題への指標が出ると予想されていました。
一気に全世界の政治家も経済人もみんなその新しい目標に向かっていかないといけない。
「どういう時代が来るか、その時代でどんなことができると良いのか」と、バックキャスティングで考えていましたね。

多様なステークホルダーとの協働の秘訣

Q:クラダシ基金や自治体との連携のように、フードロスの削減という社会課題の解決のために、顧客企業や投資家、社会貢献団体、自治体といった幅広いステークホルダーとの対話・協働はどのように実現されているのでしょうか。

どんな立場の人でも、全ての人に関することが食事の問題です。
地方創生に取り組む連携体制を表す言葉として、「産官学金労言士」というものがあります。産官学金労言士、どの仕事でも全て食に関わることなので、自分ごととして捉えて、みんなで進めるような、ソーシャルグッドな循環が生まれる仕組みを作る必要があると考えています

これは社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を始めた理由にも重なります。
コロナが分かりやすい例でしたが、人の移動を止めると、経済が破綻していきます。
逆もまた然りで、戦後の日本のGDPが上がると共に、人の移動距離も伸びていたというデータがあります。
このように、人の移動を産んでいくことで経済の循環を増やしていくこと。
みんなでソーシャルグッドな循環を作っていくことが、幅広いステークホルダーと共同していく秘訣だと思います。

クラダシでは本当は負の遺産のものに、価値をつけるような事業を行っています。具体的には、本来ならば廃棄されるものに、新しい経済価値を作ることをしています。しかも、消費者がそうした商品を安く買える、お財布にも優しくて全てのステークホルダーの人がWin-Winになればいいと思っています。

このようなサステナブルな循環を作って、民間企業として社会課題解決を目指して成長し続けること。ソーシャルグッドカンパニーとして成長し続けることが弊社のミッションと考えています。

※社会貢献型インターンシップクラダシチャレンジとは

地方創生やフードロス問題に興味があるZ世代である学生が、人手不足に悩む地方農家での収穫支援を通し、地域課題やフードロスなどの社会課題について考える、社会貢献型インターンシップ。クラダシでは、2019年からスタートし、日本全国累計14か所、過去30回以上にわたって開催しています。参加学生の旅費は、地域経済の活性化と社会発展に寄与するために設立した「クラダシ基金」から支援しています。https://kuradashi.jp/pages/kurachalle

クラダシが求める人材像

Q:どんな人材を求めているのか?

弊社はまずミッション・ビジョン・バリューへの共感を求めています。
ミッションは「ソーシャルグッドカンパニーであり続ける。」
ビジョンは「日本で最もフードロスを削減する会社である。」
バリューは「前例を作る。」「アクセル全開。」「明るく楽しく元気よく。」を掲げているのですが、これらに共感し、一緒に体現していける方にジョインして欲しいです。
もう少し具体的にお伝えすると、ソーシャルグッドカンパニーとして、存在する社会課題に新しいアイディアを持ち、付加価値をつけてより良く経済が回るような仕組みを作って、展開をしていけるような方だと良いですね。

そしてやはり、「自分事として捉えてる人」が重要です。
SDGsは「誰1人取り残さない」と国連が言っています。
その目標達成を加速させるために、クラダシは「誰でも」「気軽に」「いつでも」参加できるような仕組みを作って、その仕組みが回ればなるほど全てのステークホルダーに良い影響を与えて、SDGsをもっと浸透させていきたいと思っています。
弊社の採用に結びつけると、そういう大きな志を持っているソーシャルグッドなクラダシできちっと経済を作っていくということを自分ごととして捉え、想いを持って行動ができる人に来ていただきたいですね。

Q:インターンやベンチャー企業、起業に関心を持つ大学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

「視座高く視野広くあれ」というメッセージを届けたいです。
チャレンジは積極的にしていってほしいと、若い方に対して思っています。 

私は社会人になって30年目です。自身の課題意識に紐づいたクラダシのサービスが世の中のためになってる。だからこそ、事業を拡大できたと思っています。
誰かの役に立とうと思っている皆様だからこそ、そこに自分独自の多様性のある自分の視点で、世の中を見るというのが実はすごく重要なことです。

 自分の個性を大切に、未来のためにグレードアップして、世の中のために一緒に奮闘していきましょう。

今回お話をお伺いしたのは・・・


株式会社クラダシ
代表取締役会長 関藤 竜也 氏

1971年大阪生まれ。1995年総合商社入社。
高度経済成長期の中国駐在を経て独立。戦略コンサルティング会社取締役副社長を経て、2014年フードロス問題を解決するため、株式会社クラダシを設立して代表取締役社長に就任。2024年7月に株式会社クラダシ 代表取締役会長へ就任。
SDGs採択の7カ月前にフードロス削減を目指したECサイト、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」サービスを開始。その売上の一部を社会貢献活動団体への寄付やクラダシ基金に活用している。

2018年環境省主催 『第6回グッドライフアワー』にて「環境大臣賞」を受賞。
2020年農林水産省協賛『第7回 食品産業もったいない大賞』にて「審査委員会委員長賞」を受賞。2022年「第6回食育活動表彰」消費・安全局長賞「令和4年度食品ロス削減推進表彰」環境大臣賞を受賞。

日本でもっともフードロスを削減する会社

フードロス削減を目指したECサイト、ソーシャルグットマーケット「Kuradashi」の運営。
まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性のある食品などを、おトクに販売している。 さらに、売り上げの一部を環境保護・災害支援などに取り組むさまざまな社会貢献団体への寄付やクラダシ基金として活用し、SDGs17の目標を横断して支援している。

会社名:株式会社クラダシ
所在地:東京都品川区上大崎3丁目2−1 目黒センタービル 5F
企業ホームページ:https://corp.kuradashi.jp/

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