複業が当たり前の社会を創る

~競争の激しい人材業界の革命児に聞く哲学~
株式会社Another works
代表取締役 大林 尚朝
 氏

先人に学び、行動し続けるー26歳で起業するまで

Q:大林様は幼少期はどんな子供でしたか?

小さい頃から父の影響をかなり受けていましたね。
父が幼いころからずっと理想の人で、父が阪神タイガースを応援していたので僕も阪神ファンですし、父が経営者だったから、僕も経営者になりたいと思っていました。幼少期から自宅に従業員が訪ねてくることが日常で、父と従業員のやり取りを聞いたり、仕事に向き合う様子を見たりしているうちに、父の姿を追いかけるようになりました。

Q:経営者としての道を歩むにあたり、お父様の影響を大きく受けているのですね。他に影響を受けた方はいますか?

日本史や世界史が好きということもあり、歴史の偉人から学ぶことを大事にしています。いわゆるリベラルアーツ的な発想です。

その中でも吉田松陰先生に大きな影響を受けています。僕は大分県の出身なので、修学旅行でもゆかりの地に行ったり、本で勉強したりと吉田松陰先生の考え方に触れてきました。
その教えが、今の経営に活きているなと感じます。

Q:学生の頃から既に「経営者」になることを意識されていたのでしょうか?

そうですね。
大学は早稲田大学の法学部に行き、労使関係を学ぶために労働法を専攻しました。労使関係や労働法の判例を学ぶことが、起業に必ず役立つと信じていたからです。周りはみんな弁護士を目指していましたが、自分は弁護士になりたいとは思ってなかったので、大学生の頃からインターンをしてビジネスの道に進みました。。

大学時代はリアライブという会社でインターンをしており、代表と一緒に仕事をする中で、将軍の見る背中からの景色をずっと見せてもらっていました。
いつか自分の会社を経営してみたいという気持ちは、学生時代からずっとありましたね。

Q:会社を創業するに至った動機は何でしたか?

起業の動機は、自分がやれること、やりたいことを実現するためには起業しかないと思ったからです。

新卒で入社した株式会社パソナで、業務委託人材に関する新規事業に携わった経験が現在のビジネスにも繋がっています。パソナでは主に大手企業をターゲットとして業務委託・複業人材の方を提案していました。しかし、地元大分で経営者をしている父の姿をずっと見ていた私は、中小・地方企業の課題解決こそ複業人材の力が必要であると確信していました。

なぜなら、中小・地方企業は予算が限られていたり、優秀な人材が首都圏に集中していたりすることから、スキルのある人を採用することが難しい現状があるからです。そのため、複業人材の採用であれば、出社の必要性が無いため、自社のリソースの範囲内で優秀な人材と接点を持つことができます。

少子高齢化、労働力人口の減少、地方の衰退という日本の現状を、自分が変えないといけないと使命感を抱きました。だから起業するしかなかったんです。

Q:具体的なやりたいことだったりがイメージできたタイミングはいつでしたか?

イメージができたタイミングは特にないです。「決めた」というだけですね。
起業したタイミングは2019年5月7日で、令和の最初の営業日でした。

令和以降の働き方を変え、複業を世の中にインストールするという気持ちを込めて、令和の最初の営業日に法人登記することを決めただけです。

また、僕が憧れている吉田松陰先生の影響もあります。吉田松陰は黒船来航の際、弟子を連れてアメリカ海軍に乗り込もうとし、重罪を覚悟し日本の未来のために覚悟を決め行動しました。
そのため、吉田松陰先生が日本を変えようと覚悟を決めた年、26歳で起業しようと決めていました。

複業も注目を浴び始めてきた時期ではあったので、マーケットが盛り上がりそうだという予感はありました。
そのため複業クラウドのようなサービスは、世の中に必要としている人がたくさんいるかもしれないと思い、先行優位を取ろうと思ってすぐ始めました。

いつか起業をしたいと思っている人は一定数いると思いますが、なかなか起業まで踏み切れないのは、覚悟を決められないからだと思っています。
いつかタイミングが来るとか、いつか自分に波が来るとか、そう思っていてはいつまでたっても行動に移せません。やると決めることが大事です。

起業後すぐに最大の試練が訪れる・・・

Q:創業してから今までを振り返ってみて、一番苦労したことはなんでしたか?

2019年5月に起業して、2020年の4月にコロナ禍が訪れました。1期目にしてこれからどうなるのか、見通しが立たない日々が続きました。

全世界の経済が止まってる中で、キャッシュもない、仲間を集めたくても環境がないという状態で立ち続けないといけなかったので、相当きつかったですね。
あの時の不安な気持ちが一番辛かったなと、今振り返って思います。

前例のない困難を乗り越えてついた自信

Q:コロナ禍を乗り越えてからご苦労されたことはありましたか?

とにかく人を増やさないと勝てるプロダクトを作れず、売上利益も上がらないという状況でした。いわゆるベンチャーのJカーブを掘るようなモデルで会社を経営していたので、赤字の期間をいかに早く脱出するか考えることが大変でしたね。

また、これまで一般的ではなかった「複業」という概念を啓発していくことも難しかったです。サイドビジネスやポイ活などが該当する副業とは違い、パラレルにどれも本業と位置付けて働く複業を世の中にインストールするにはどうしたらいいか、日々考えを巡らせていました。

「複業」が当たり前の社会を作るために

Q:既に複業クラウドは、累計1,800社、登録者80,000人、140以上の自治体に導入されていますよね。競合の多い人材業界において、これはかなりインパクトのある実績のようにお見受けをしています。成功の秘訣はどこにあると思いますか?

市場を見渡すと、人材領域はレッドオーシャンどころではなく、ブラッドオーシャンだと僕は思ってます。
資格さえあれば誰でもできるビジネスなので、参入ハードルがとても低いからです。

まだまだ成功しているとは1ミリも思ってないのですが、あえて会社が成長できている要因について考えてみると、立ち続けてきたからだと思っています。

道半ばで辞める人がほとんどですが、その中でどう続けるかが大事だと思っています。

例えば、複業という働き方を日本の当たり前にするためには、民間だけではなく行政の複業人材登用も推進しなければならないと思い、2020年から自治体向けにもサービスを提供してきました。まだ会社が安定しているとは言えない時期でしたが、目指す社会の実現に向けて、自治体に啓発し続けることを辞めませんでした。だから今では日本で一番の実績を掲げられています。

「想い」を胸に、立ち続けること

Q:ブラッドオーシャンの中で立ち続けるには、相当な胆力が必要なのかと思います。立ち続けるために意識されていることはありますか?

「想い」が1番大事だと思います。複業の社会実装を実現するという大義を掲げていますが、世の中で複業の社会実装を本気でしたいと会社のミッションにしている経営者は、世の中で僕1人だけだと自負しています。

複業という新しい働き方、新しい人生の選択肢を日本に社会実装しようとしている経営者、そこに命をかけてる経営者は僕しかいないです。

サービス名に副業ではなく「複業」という言葉を使ったのは、働き方に多様な選択肢を提示したかったからです。

「副業」は、本業の収入を補填するというお金稼ぎを目的としたニュアンスが強いです。しかし、これからの時代は本業以外の第三の場所で、自分のやりたい事に携わったり、理想のキャリアに向けて経験を積んだりする「複業」がより大切になると信じています。

また、複業が当たり前になれば、複業が全員の挑戦機会の選択肢になれば、転職や独立など大きく環境を変えることなく誰しもが挑戦することができます。

想いを持って立ち続けることが大事だと思っています。

Q:大林様にとって成功してる状態っていうのはどういう状態でしょうか。

複業が日本の当たり前になったときですね。
具体的には、誰もが何か挑戦するときに複業という選択肢が当たり前にある状態です。
誰かと連絡を取りたいときに、当たり前のようにスマートフォンを使いますよね。そんな風に社会実装できてる状態にまで持っていきたいなと思います。

スキルは後天的、会社のバリューに合った仲間と働きたい

Q:会社の経営において大切にしていることはなんでしょうか?

経営において大事にしていることは、仲間です。
その仲間集めにおいては、スキル面だけで判断しないことを大事にしています。
理由はスキルは後天的なものなので、いかようにも変わる可能性があるからです。
人間は環境の生き物なので、環境によっては100%、120%の力を出せない可能性は十二分にあります。

そのため、スキルの有無よりも、自分たちのビジョンに共感してくれる仲間と出会うことが、会社を大きくする上で大事だと思うんです。

また、ビジョンだけではなく、当社が定めているバリューを体現できる方かどうかという点も重要です。バリューは9つあるのですが、その中でも「謙虚にして驕らず」はずっと大事にしていることです。
とにかく謙虚に、驕らずに、いくら成果を出しても、成果出した日ほど働くことを自分自身も仕事をする上で意識しています。
例えば営業では、受注をして「偉い」なんてことはないんです。受注してから、お客様に価値を感じてもらって、期待を超えられたかどうかの方が大事です。受注した日は達成感では無くて、むしろプレッシャーを感じた方がいいと僕は思っています。

それをもっと基礎的な考え方に落とすと、「謙虚にして驕らず」だと思いバリューにしています。

求める人材は「自分の人生を生きている」当事者意識のある人

Q:記事を読んで、Another worksで働いてみたいと思ってくれる学生もいるかと思うのですが、貴社が採用で求めている人物像を教えてください。

やはり、謙虚さがあるかというところは見ています。
また、どのような価値観を持っているのかを知りたいので、その人の根底や生い立ちをたくさん聞きます。
その中で他責にしたり、誰かに矢印が常に向いてたりする人はお見送りしています。

自分の人生の当事者である人、自分の人生を生きている人を僕は採用したいです。
あとは基礎・基本ができてる人ですね。
ちゃんと挨拶ができるかどうかとか、ハキハキと話せるかどうか、人の目を見て話せるかどうかなど、小学生でもできることを、大人になっても当たり前にできる人に来ていただきたいです。

スキルは後天的ですが、こういった基礎・基本ができていない人は、いくら教えても直らないと思います。

「想い」を共有できる仲間を集めていく

Q:現在、創業から6年目に突入したタイミングですが、今後の展望を教えてください。

今後の展望は、ブレずに複業の社会実装を実現するということです。そのために当社は存在しているので、これからも走り続けていきたいなと思っています。
しかし、僕1人でできることには限界があります。ビジョンに共感してくれる多くの仲間に集まってもらわないといけません。

今は業務委託の方も合わせると100名ほどの組織規模ですが、特に若手の力をすごく頼りにしています。これからの社会を作っていくのは、若い人たちだと思っていますし、彼ら彼女らが当事者になれるような働き方を実現したいと思っています。
一緒に複業を当たり前にしていきたい、イキイキと働く人を増やしたいという想いが少しでもある方がいれば、是非来て欲しいです。

日本の未来を担う大学生へ

Q:インターンやベンチャー企業、起業に関心を持つ大学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

自分を変えたければ、やるしかないです。
僕がすごく好きな考え方に「『知ってる』と『やってる』の差は大きい」というものがあります。知ってるけどやっていない人がほとんどなんです。

例えば、長期インターンが自分のためになるのは知っているけど、やっている人はほとんどいないですよね。だからこそ、やれる人は成功します。そしてそれを「やり続けること」はより重要です。

結局、続けられない人が多いんです。
インターンなら、まず半年は続けた方がいいです。やった方がいいと思うことは黙ってやってみる。これも決めるだけです。そして、決めたことは、続ける。

インターン生にも裁量権を

職種によりますが、例えば行政ビジネスであれば、お客様が行政の職員や市長、町長になるので、そういった方に向けて提案やサポートをしてもらいます。
この事業のインターフェイスも、元インターン生なんです。

やりたいことがあれば、それに合わせてポジションを提案させていただくので、お気軽にご連絡ください。社会人になる前に経験を積める、貴重な機会となると思います。

関わってくれる学生には、持っているものを全部渡したい

インターン生にも社員と同じくらいの裁量権を持ってもらうので、圧倒的に成長できる環境だと思います。今でもインターン生のロープレを私がすることもありますよ。

インターンを経て入社いただければ嬉しいですし、もしそうならなくても、他の会社に就職してそこで成功してもらえれば嬉しいです。。
何か人生の中で、Another worksにいて良かったと思っていただければ、僕は幸せです。

彼ら、彼女らが使ってくれている時間は、すごく貴重な学生時代です。それを犠牲にしてまでうちで頑張ってくれてるインターン生には、お金だけではなくて、僕が持ってるもの全部渡したいなと思っています。

Another worksでは若手メンバーが多く、平均年齢も低い(正社員 平均年齢27歳)です。代表 大林さん のお考えもあって、学生の挑戦に対して、真摯に向き合ってもらえる環境があります。
今回、学生時代のインターン勤務を経て、新卒入社した 黒田さん からもお話を伺いましたので、ぜひ合わせてご覧ください。

▼Another works様で募集中の長期インターン求人はこちら▼

今回お話をお伺いしたのは・・・

株式会社Another works
代表取締役 大林 尚朝 氏
1992年 大分県生まれ、早稲田大学 法学部 出身
パソナグループに新卒入社し、顧問やフリーランスなど業務委託人材を紹介する新規事業に従事。株式会社ビズリーチ(現.ビジョナル株式会社)にて新規事業立ち上げメンバーとして参画。2019年、株式会社Another worksを創業。複業したい個人と企業や自治体を繋ぐプラットフォーム「複業クラウド」を展開し、創業5期目で1,800社、80,000名、140自治体以上が導入。テレビ東京「WBS」や総務省のCM等多数のメディアに出演。東京都スタートアップ支援事業、大阪産業局、Plug and Play Japanにて起業家メンターを担当。著書『スキルマッチング型複業(副業)の実践書』。
おすすめの本は、吉田松陰「覚悟の磨き方」と、福本伸行 作の漫画「賭博黙示録カイジ」。

 

挑戦する全ての人の機会を最大化する

「挑戦する全ての人の機会を最大化する」をビジョンに掲げるスタートアップ企業です。2019年9月に総合型の複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」をリリース。ミッションである「複業の社会実装を実現する」ために、スタートアップから大手企業、自治体、スポーツチーム、教育機関など、業種業界問わずあらゆるドメインで複業人材の登用を後押ししています。

会社名:株式会社Another works
所在地:東京都港区虎ノ門5丁目13-1 虎ノ門40MTビル3階
企業ホームページ:https://anotherworks.co.jp/

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