始まりは学生起業!明治維新を現代に

~事業家創発理念で突き進む~
イシン株式会社
代表取締役会長 明石 智義

「歴史好き」から「起業家」に

Q:明石様は幼少期、どんな方でしたか?

歴史に熱中していました。幕末や明治維新に非常に面白さを感じていて、一時期は遺跡めぐりを趣味にしていたほどでした。特に勝海舟は当時を象徴する人物だと思っているので大好きでしたね。歴史上の人物の生き方から、「自分もこういう生き方をしたいな」と思ったり、学ぶことは多かったです。
彼らの生き様から学べることは政治的なことだけではなくて、企業経営にも活かせることがあると感じています。企業経営における、会社をまとめ、リーダーシップを取っていくという要素は歴史から学べることが多いと思います。事実、今の私の会社経営にも活きている部分があります。歴史上の人物のリーダーシップや組織に対する考え方は、本当に勉強になりますし、自分のベースになっていると感じています。

Q:イシン株式会社は、明石様が大学時代に立ち上げた起業サークルを母体に学生起業された企業だと伺っております。なぜ大学生という早い時期に起業に興味を持ち、行動を起こされたのでしょうか?

もともと文学部志望だったのですが、受験で文学部に落ちて、商学部に進学しました。商学部に進学したものの、哲学サークルや歴史に関する集まりに多く参加していました。
でもあるとき、哲学サークルでは抽象的な議論が多かったので、もっと実践的なことをして自分も歴史をつくる側の人間になりたいと思うようになったんです。
少し反骨心もあり、俗物的なものの象徴として、起業や会社経営を想像しました。今考えるととんでもない話ですが、「お金を儲ける」ということについて、当時の僕は経営者や社長のことを俗物のように感じていたのです。

ですが、起業するにあたって経営者や起業家の自伝を読んでみたところ、私が持っていた俗物的なイメージとは全く異なる世界が広がっていました。商売は損得だけの世界だと思っていたのですが、実際には非常に精神的な要素や原理原則が深く関わっていることを知りました。稲盛和夫さんや松下幸之助さんのように、非常に哲学的な精神を持った人たちが成功している世界だと気づいたのです。
同時に今まで、現代の世の中は乱世ではないと感じていましたが、企業やベンチャーの世界は常に変化が起こり、まさに乱世のようだとすごく驚かされたのです。新しい業界が生まれ、その中で経営者が起業し、みんながのし上がっていく。そうした動きがある種、私が思い描いていた歴史上の人物の生き方に似ているのではないかと思い、起業の世界にのめり込んでいきました。

起業家は、現代に生きる志士のような存在だと思います。起業家という人物に憧れ、その生き方に感銘を受けました。学生のサークルで起業家にインタビューする活動を始めたのも、そうした憧れからです。

創発型社会に向けて

Q:2012年以降には「TECHBLITZ」や「ヤッパン号」がスタートしましたが、海外に挑戦できた決定打や背景を教えてください。

ずっと海外にチャレンジしたいという気持ちは持っていました。今もそうですが、当時から日本は少子高齢化によって経済が下がっていくと予測されていました。そこで、国外に目を向ける必要性を感じていました。
実際、友人の経営者たちも、中国進出を目指し、製造業が一段落した後、サービス業やITで進出しようとしていたので注目していましたね。
また、東南アジアも意識していました。ベトナムやインドネシアは、かつての日本の高度経済成長期のような成長を遂げており、人口ピラミッドも理想的な形で成長しています。その成長を享受し、新しいことにチャレンジしたいという思いがありました。

そのため、当時から頻繁に海外出張をしていました。しかし、安直に進出してもうまくいかないので、きちんと成功に導けるような利益を出せるモデルを考えて行動し、最終的に2012年に進出することになりました。

Q:今後の展望をお聞かせいただければと思います。

現在、弊社では大きく分けると「公民共創事業」「グローバルイノベーション事業」「メディアPR事業」の三つの事業を展開しています。この中でも「公民共創事業」に引き続き注力していくことと、既存の事業もさらに成長させることに力を入れようと思っています。
新規事業なども展開していく予定で、イノベーションの機会を増やしていきたいと考えています。

社員1人の成長が会社の成長につながると信じて

Q:会社経営において特に大切にしていることはなんでしょうか。

私たちの経営理念として「事業家創発」を掲げています。これは、事業を生み出す創発的な企業文化を意味し、常にチャレンジする社風を大切にしています。
また、人に賭ける会社です。

私たちは有機的な会社でありたいと思っており、社員の皆さんとはしっかりと向き合って対話することを重視しています。
私自身について言えば、創業以来、社員の皆さんの個人のキャリアに寄り添いたいという想いがあります。同時に、個人のキャリアを活かして会社を成長させていきたいという考えも持っています。
会社は社員の皆さんのキャリアの要請に応え、適材適所に人材を配置し、その機会を会社のチャンスとして活かしたいと考えています。そうすることで、会社全体の成長を加速していきたいと思っています。

未来をつくる大学生へ

Q:インターンやベンチャー企業、起業に関心を持つ大学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

選択を正解にすることです。
「大きな決断ほど一呼吸でする」とよく言われますが、私自身も、大きな決断ほど縁や運を大切にしています。あまり考えすぎると、人はその決断の損得を考えてしまいます。
就職やその他の大きな決断にしても同じです。また、考えすぎると必ずどこかで「こんなはずではなかった」と思ってしまうこともあるんですよね。逆に、縁や運、感謝の気持ちを大切にして動くことで、自然とその決断を受け入れ、「やっていこう」と思えるようになるのです。短期的に得か損かを考えすぎない方が良いと思います。

そして、もう一つは選択したらそれを正解にしようとすることです。会社で働く中で、いろんなことで悩むこともあると思います。
それでも、自分の選択を正解にしようとすることが大切です。
ただ、ファーストキャリアに関しては、あまりにも安直に決めるのは怖いですね。
というのも、最初の育成はその後のキャリアを大きく左右するので、最初についた上司や会社は、その人のキャリアに大きく関与します。

実はある大学の研究では、最初の上司との出会いがその人とのキャリアを大きく左右するというデータが出ています。
キャリアは新人から半人前、一人前、課長、部長、役員といった段階を経て成り立っていますが、その過程で多くの人が離脱していくので、上までキャリアを開拓できるのは一部の人だけです。
その上で、キャリア開拓に成功した人たちの要因分析をすると、最初についた上司が、その人のキャリアに大きな影響を与えることがわかりました。

そう考えると、ファーストキャリアで選ぶ会社は、ある程度マネージャーがしっかりしているかどうか、誰が自分を面倒見てくれるのかを考えることが重要になると思います。
「この人は自分の師匠だ」「メンターだ」と思えるような、尊敬できる人に出会えるかどうかが大切です。逆に、まだ経験が浅い人がマネージャーをしていると、それが後々に大きな影響を与えることになります。

今回お話をお伺いしたのは・・・

イシン株式会社
代表取締役会長 明石 智義 氏

1979年、兵庫県出身。
1999年、慶應義塾大学在学中に『ベンチャー通信』を創刊。
2005年に株式会社幕末(現イシン株式会社)を設立し、代表取締役社長に就任。
2011年に代表取締役会長に就任(現任)。

 

 

事業家が生まれる創業的企業文化

イシン株式会社は、メディアPR事業として雑誌・Web・イベントを含むさまざまな媒体を運営し、顧客や領域課題に対応したソリューション、プラットフォームを開発している幅広い領域で事業を展開する会社です。
自治体と民間企業の共創を支援する公民共創事業、日系企業のオープンイノベーションを支援するグローバルイノベーション事業、ベンチャー企業のブランディング・採用を支援するメディアPR事業を行っています。
世界的視野を持った事業家が生まれる文化を大事にし、社会の進化に貢献する事業を積極的に展開していきます。

会社名:イシン株式会社
所在地:東京都新宿区新宿6-28-7 新宿イーストコート7F
企業ホームページ:https://ishin1853.co.jp/

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